種々の電気泳動法的手技を用いて, レクチン標品の不均一性について検討を加え, 以下の結果を得た.
Con-A, LCA-A, LCA-B およびLCAの標品のうち, いくつかのものはpH8.6で陽極側に移動する微量成分を有したが, レクチン反応性AFPには親和性を示さず, AFPの親和電気泳動パターンには影響はみられなかった. E-PHAは同様の条件下で, とくに4℃で保存した場合, 陽極側への移動度とバンド幅が増加した. これらの変化はpHを7.5まで低下させることにより軽減され, さらにMnCl
2, CaCl
2, MgCl
2を加えることにより, それぞれ0.1mMの濃度でほぼ完全に防止し得た. LCAの各標品は2価金属イオンを加えなくてもpH8.6で比較的安定であった. LCA-Bではロット毎の移動度のばらつきが目立ち, AFPに対する親和性も同時に異なった. これらのレクチンのサブユニット構成の面においても, 不純物あるいは分解産物などによる不均一性がみられた. レクチン反応性AFPを用いた親和電気泳動により, より簡便でしかも感度の高い, レクチンの品質管理の可能なことが示唆された. また逆に, これらレクチンの不均一性を十分考慮に入れて, 糖蛋白のレクチン親和電気泳動を行う必要性のあることが示された.
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