生物物理化学
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33 巻, 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 田中 経彦
    1989 年 33 巻 6 号 p. 273-278
    発行日: 1989/12/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    血清中の抗デキストランIgGの定量法としてリガンド飽和親和電気泳動法を開発した. 本法では血清中の1~10μgの抗デキストランIgGを約3時間で簡便かつ正確に定量できた.
  • セルロース・アセテート膜等電点電気泳動後, 膜上直接検出法
    鎌田 雅史, 染谷 佳子, 池北 雅彦, 青木 一正, 木付 和幸, 守屋 寛
    1989 年 33 巻 6 号 p. 279-283
    発行日: 1989/12/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    組織性カリクレインの微小多様性成分を特異的かつ高感度で簡便に行う方法を確立した. すなわち, 本法は, セルロース・アセテート膜等電点電気泳動後, ブロッティング操作なしに直接カリクレインを膜に固定後, 抗カリクレイン抗体と反応させ Vectastain® ABC法でカリクレインバンドを特異的に染色するものである. 本法のカリクレインバンドの検出感度は10ng以下であり, 再現性よく特異的にカリクレイン微小多様性成分の検出が可能であった. また抗組織性カリクレイン抗体は, 組織性カリクレイン前駆体 (プロカリクレイン) とも反応することから, プロカリクレイン微小多様性成分も検出可能であった.
  • 武田 和久, 福永 仁夫, 森田 陸司, 蒲原 良篤, 荒川 秀司, 佐藤 幹雄
    1989 年 33 巻 6 号 p. 285-291
    発行日: 1989/12/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    健常成人 (男27例, 女36例) のアルカリフォスファターゼ・アイソザイム3 (ALP3) の活性を, ALPの総活性およびセルロース・アセテート膜上で電気泳動によって分離したALPアイソザイム中のALP3の割合から求めた. 平均値を血液型各群で比較すると, B型例のALP3活性および年齢はAB型群のそれらよりも高く, B型例のオステオカルシン値は他の血液型例よりも高かった. ALP3活性は男女間で差がなかったが, ALP3の総活性に対する割合は男性のほうが低かった. 女性のALP3活性はオステオカルシン値と正の相関を示したが, 副甲状腺ホルモン (PTH) 値とは相関がみられなかった. しかしALPの総活性はオステオカルシンおよびPTHと相関した. 年齢はALP3およびPTHと相関したがオステオカルシンとは相関しなかった. 健常成人におけるALP3活性の変動 (89.3±28.4IU/l) は, 女性における年齢依存性の副甲状腺機能の状態および骨代謝に, より直接的な関連因子による骨芽細胞機能の変調によって説明することができた.
  • 中村 和行, 田中 経彦, 竹尾 和典
    1989 年 33 巻 6 号 p. 293-303
    発行日: 1989/12/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    タンパク質のニトロセルロース膜への結合は堅固で, 膜がタンパク質で飽和されるまでは定量的に結合した. 20種類のタンパク質を用いて, このタンパク質と膜との結合特性を解析した結果: 1) この堅固な結合はタンパク質と膜との間の疎水性の相互作用によるものであり, タンパク試料中に含まれる糖, アミノ酸, 二重鎖DNA, グリセロール, あるいは塩類による影響をほとんど受けず, また試料用緩衝液の種類やpHによる影響も少ない, 2) 分子量や等電点の異なるタンパク質であっても膜に結合するタンパク分子の数は1.13~1.98nmol/cm2の範囲内にあり生体試料中の微量タンパク質を簡便に再現性よく定量することができる, 3) また, この堅固な結合は, 非イオン性の界面活性剤により濃度依存的に阻害され, 定量後の膜上のタンパク質を比較的低濃度の界面活性剤を用いて抽出でき, かつタンパク質を高収率で膜から回収できるため微量のタンパク質を用いたタンパク化学的解析が可能となる考えられる. しかしながら, 非常に強い表面荷電をもつ低分子量タンパク質は膜に結合しにくく, その定量は不可能と思われる.
  • 中村 和行, 田中 経彦, 竹尾 和典
    1989 年 33 巻 6 号 p. 305-312
    発行日: 1989/12/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    ニトロセルロース膜を支持体に用いたクロマトグラフィーによりタンパク質の分離を試みた. 分子量や等電点の異なる12種類のタンパク質をニトロセルロース膜にスポットした後, 非イオン性界面活性剤, ツイーン20を用いて展開すると, タンパク質は膜への結合親和性の強さの違いに従ってそれぞれの展開速度を与え, この展開速度はタンパク質を構成するアミノ酸残基の側鎖の疎水度から理論的に求めたそれぞれのタンパク質の疎水度に相関を示し, タンパク質の分子量や等電点には相関を示さなかった. また, このクロマトグラフィーのpHおよび温度依存性や尿素, 中性塩, メタノールなどの影響を調べた結果は, タンパク質がニトロセルロース膜と疎水性の結合力の違いにより分離されることを強く示唆した. このニトロセルロース膜を用いたクロマトグラフィー法は, 微量のタンパク質 (たとえば, 膜結合タンパク質) をその疎水性の差によって簡便に分離できる方法として有用と思われる.
  • 森山 隆則, 信岡 学, 高杉 佑一, 牧野 幹男
    1989 年 33 巻 6 号 p. 313-317
    発行日: 1989/12/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    The biochemical properties of macro creatine kinase type 1 found in seven patients and type 2 found in one case were examined. In the cases of macro creatine kinase type 1, three patients with creatine kinase BB linked immunoglobulin G and three patients with creatine kinase MM linked immunoglobulin A were determined. Two forms of macro creatine kinase were easily differentiated by the determination of their distinct activation energies. Molecular masses of macro creatine kinase type 1 were approximately estimated to be from 230, 000 to 330, 000, and multi-molecular forms of macro creatine kinase type 2 were observed by the method of gel permeation high performance liguid chromatography. Two forms of macro creatine kinase were mainly detected in patients with malignancies.
  • 和田 緑, 芝 紀代子, 芝 〓彦
    1989 年 33 巻 6 号 p. 319-325
    発行日: 1989/12/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    歯肉溝浸出液は超微量であるが, われわれは微量の試料でも行えるミクロ2次元電気泳動法と高感度の銀染色法とを組み合わせて歯肉溝浸出液中の蛋白質分析を行った. その結果, 31~55個の蛋白質スポットが検出され, さらにエレクトロブロッティング後の免疫化学的染色により, そのうち14個の蛋白質が同定できた. 混合唾液および血清と比較したところ, 歯肉溝浸出液特有と考えられるスポットが, 等電点5.2~5.5, 分子量13~14万の位置に出現したほか, 量的な比較では, IgA, セルロプラスミン, α2-HSグリコプロテインにおいては血清のほうが, IgG, アルブミンにおいては歯肉溝浸出液のほうが濃染された. また, 歯肉溝浸出液における等電点の異なるハプトグロビンの存在を明らかとし, アルカリ側に位置するハプトグロビン-ヘモグロビン複合体をもつ症例では炎症程度の進行が著しいことがわかった.
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