生物物理化学
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34 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • アフリカツメガエル皮膚由来30KDaラクトース結合レクチンとの比較
    仁田 一雄, 寺崎 豊, 細野 雅祐, 菅野 泰弘, 草刈 宏哉, 高柳 義男, 川内 廣明
    1990 年 34 巻 4 号 p. 185-193
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    アフリカツメガエル (Xenopus laevis) 皮膚由来の47KDaレクチンを Sephadex G-75, DEAE-セルロース, ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびDEAE 5 PWを用いた高速液体クロマトグラフィーにより精製した.このレクチンはヒト赤血球を非特異的に凝集した. ヒトA型赤血球を特異的に凝集する30KDaレクチンも同じ出発原料からガラクトース-Sepharose とラクトース-Sepharose を連結させたアフィニティクロマトグラフィおよびポリアクリルアミドゲル電気泳動により精製した. ヒトA型赤血球を用いた47KDaレクチンおよび30KDaレクチンの凝集反応はどちらもラクトース, ラクチュロースおよび血液型物質により阻害された. 異なった方法を用いて同じ出発原料から2種のレクチンが調製されたので, 精製方法とその使用順序が精製されたレクチンの分子形態と細胞特異性あるいは糖特異性に影響を与えるものと考えられる.
  • 藤田 清貴, 櫻林 郁之介, 河合 忠, 草〓 睦子, 寺邑 能実, 澤田 滋正, 熊田 至
    1990 年 34 巻 4 号 p. 195-199
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    従来報告されていた熱凝固反応と異なるIgM型 pyroglobulin を見いだし検討を加えた. 精製されたIgMは単独でその性状がかなり弱くなることが確認された. しかも患者の精製IgMに正常のIgG, 補体成分を含む分画液を添加することによりゲル化凝固時間は大幅に短縮され, 両者を除いたものでは逆に延長することがわかった. これらの蛋白成分は熱凝固発現に促進的作用をしている可能性がある. とくにIgGにおいては等電点あるいは subclass の相違により反応性が異なることが示唆された. さらに, 還元アルキル化した7S IgMでは熱凝固性はまったく阻止されず, 19S IgMよりもゲル化凝固に要する時間が短いことが確認された. 精製IgMはPAS染色で強染されたことから, 還元アルキル化によって隠れた糖鎖が露出し7S IgMのほうがよりゲル化凝固しやすくなるのかもしれない.
  • 林 泰三, 廣川 恵子, 渡部 透, 金田 恵孝, 高崎 登
    1990 年 34 巻 4 号 p. 201-205
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    前立腺癌患者20例 (平均年齢72示歳) と良性の前立腺肥大患者20例 (平均年齢71歳) について, CK活性ならびに isoenzyme BB, MB, MMを検索した. CK-BBは癌群において肥大群に比し, あきらかな上昇を認め, とくに stage Dにおいてその上昇は著明であった. CK総活性, MB, MMには差はなかった. 前立腺癌のマーカーとされるACP, PAP, PA, γ-Smを同時に測定し, CK-BBと比較した. CK-BBはACP, PAPと肥大群では有意の相関をとったが, 癌群ではそのような相関は消失した. CK-BBは癌群において, %, 活性値ともに, γ-Smと肥大群より著明な有意の相関を呈し, 前立腺癌における両者の密接な関係が考察された. 癌群においてPAはACP, PAPならびにCK-BB活性と有意の相関をとったが, PAとγ-Smは異なる態度をとった. CK-BBは前立腺癌のマーカーとして意義あるものと考察された.
  • 梅津 和夫, 湯浅 勲, 鈴木 庸夫
    1990 年 34 巻 4 号 p. 207-210
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    数多くの高感度の蛋白検出法の開発に伴って市販の特異的抗血清のなかには目的外の抗体が検出されることが多い. この解決法の一つとして allo Aレクチンを用いる方法を検討した. つまり, allo A-Sepharose に血清中の親和性糖蛋白質を反応させ, 架橋剤で両者を共有結合させた. この吸着体を用いて, 市販のヒト血清成分に対する特異的抗血清をアフィニティクロマトグラフィで分析したところ, ほぼ親和性糖蛋白質に対する抗体はこのゲルに吸着され, また非親和性蛋白質に対する抗体は吸収されなかった. 以上より, 本法は特異的抗血清の調整における有力な一方法となりうることが判明した.
  • 七條 喜一郎, 竹内 崇, 鈴木 實, 斎藤 俊之
    1990 年 34 巻 4 号 p. 211-216
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    セ・ア膜電気泳動法において, 鶏胚および初生ヒナ血清のα-リポタンパク質がPre-alb位置に分画される原因を明らかにする目的で, α-リポタンパク質の易動度が異なる3種類の血清の脂質組成を比較検討した.
    その結果, TL量が多い血清のα-リポタンパク質は陽極へ変移する傾向がみられたが, α-リポタンパク質濃度と易動度との間には明らかな相関関係がみられず, 脂質構成成分および共存するタンパク質濃度が関与するように思われた.
    そこで, α-リポタンパク質の脂質組成を薄層クロマトグラフィーで検討したところ, PLの分画I+II成分量およびECに結合する脂肪酸の量が多い血清ほど, α-リポタンパク質の分画位置が陽極側へ変移していた.
  • 藤田 清貴, 櫻林 郁之介, 山口 昭彦, 草〓 睦子, 寺邑 能実, 足立 幸彦, 河合 忠
    1990 年 34 巻 4 号 p. 217-221
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    Polyclonal IgGがビリルビンと結合したきわめて希な症例を見いだし検討を加えた. ビリルビン-IgG複合体は, 強酸, 2-ME処理, Triton X-100処理などでもその結合は解離せず, Michaëlsson 変法によるビリルビンの測定で総ビリルビンの方が直接ビリルビンよりも低値であるという矛盾した結果が示された. ステロイド療法によりビリルビン-IgG複合体は1週間で消失し, ビリルビン測定でも総/直接比の逆転はみられなくなり, しかもステロイド療法を中止すると同様な臨床症状, 検査異常が認められた. ステロイドによる解離実験ではその結合の一部に解離を認めた. 回復期のIgGを用いた再構成実験では, 酸処理後ビリルビンと結合できるようになりIgGと結合した間接ビリルビンのほとんどは直接ビリルビンとして測定されてしまうことが確認された. 現在のビリルビン測定法の重大な問題点と思われる.
  • 佐藤 松男, 小関 弥平, 吉田 光孝, 降矢 〓
    1990 年 34 巻 4 号 p. 223-229
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    Cellogel 膜電気泳動で post β-globulin から pre γ-globulin に幅広い主要酵素活性帯を示す異常なアルカリホスファターゼ (orthophosphoric monoester phosphohydrolase, EC 3.1.3.1, ALP) アイソザイムが慢性関節リウマチ患者血清中に見いだされた. この患者血清ALPはゲル濾過法で大部分は19S画分に溶出された. この高分子型ALPは免疫電気泳動法でIgM (Kappa 型) と結合しているALPであることが確認された. また, このALP結合性IgMは調べた, 肝, 骨, 胎盤および小腸ALPのいずれとも免疫固定法で再結合した. これはすなわち, 本結合性IgM抗体は, ALPの多価抗原決定部位を認識することが示唆された. 酵素学的性状から, 本ALP結合性IgMは耐熱性, および各種アミノ酸感受性の点から, 胎盤型ALPであることが推定された.
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