われわれは, 前処理としてアフィゲルブルーによるアフィニティークロマトグラフィーで血清γ-glutamyltransferase (GGT) を膜結合性, 非結合性の分画に濃縮後, 処理前血清と同時にセルロースアセテート膜 (タイタンIII LIPO) を支持体として電気泳動しGGTアイソザイムを分離した. この方法により, 肝疾患における膜結合性および膜非結合性GGTの出現を検討し, 以下の結果を得た. 膜結合性GGTアイソザイムは, GGT1, 2, 2+2', 4に存在し, それぞれ albumin, α
1, α
1+post α
1, β位, の蛋白分画にあたり, 膜非結合性のそれは, GGT 1, 2, 2', 3 (pre-α
2) に存在した. GGT 2および2+2'の膜結合性を示すものが, 慢性肝炎および肝硬変症では, 10例中2例 (20%), 11例中8例 (73%) それぞれ存在し, GGT 2および2+2'の膜非結合性を示すものでは, アルコール性肝障害10例中10例 (100%) 転移性肝癌8例中8例 (100%) に認められた.
抄録全体を表示