66歳の女性 (F.T.) はセ・ア膜電気泳動でα
2位に2本の明瞭なバンドを示し, いずれもIgA-K型と同定された. ゲル濾過で2峰性の peak として分離された高分子分画 (P
1) と低分子分画 (P
2) はセ・ア膜電気泳動上の2本のIgAバンドと同じ位置に泳動された. これらのIgAの分子構造, サブクラス, アロタイプの検索をIgA1結合レクチン (jacalin) と細菌由来のIgA 1-protease に対する反応性ならびにSDS-PAGEで行った. P
1とP
2は同じアイソタイプとKタイプを示しP
1を還元処理後, agarose gel 電気泳動でP
2と同じ移動度に変換した. P
1とP
2はともに jacalin との反応性を欠き, さらにA 1-protease に感受性を欠くことからIgA2サブクラスと同定した. 非還元下SDS-PAGEでP
1とP
2はともに light 鎖の2量体が遊離した. 本IgAはH鎖-L鎖間にS-S結合を欠きL鎖間がS-S結合しているA2m (1) アロタイプの性格と一致する. 本報告は日本人にみられたIgA2, A2m (1) アロタイプ骨髄腫蛋白を詳細に検討した最初のものと考える.
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