生物物理化学
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36 巻, 4 号
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  • 弘 卓三, 門福 強樹, 牧野 義彰, 佐藤 永雄
    1992 年 36 巻 4 号 p. 211-216
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    運動依存性タンパク質 (EAP) の部分アミノ酸配列および免疫化学的性状を調べた. EAPをリジルエンドペプチダーゼで消化して三つのペプチドのアミノ酸配列を決定した. これらの配列はアポリポプロテインA-1 (アポA-1) のものと一致した. アミノ酸組成も一致した. EAPおよびアポA-1の沈降線は抗EAPおよび抗アポA-1血清に対して完全に融合した. 種々血清試料の免疫電気泳動によってEAPは遊離のアポA-1と確認された.
  • SAAの精製および物理化学的免疫化学的性状について
    永徳 広美, 野又 康博, 山田 俊幸
    1992 年 36 巻 4 号 p. 217-222
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    Serum amyloid A (SAA) 蛋白を超遠心法, 脱脂法, Sephadex G-200によるゲル濾過法, イムノアフィニティークロマトグラフィー法により精製した.
    精製SAAは, イムノブロット法により他のアポリポ蛋白の夾雑は, 認められなかった. SDS-PAGEでM. W. 12,000の単一バンドを示し, 等電点電気泳動法においてpI値7.0, 6.7, 6.2, 5.9の4本のバンドが認められた. アミノ酸分析の結果は Dwulet らの報告と一致し, N末端からの配列はS・S・F・F・S・F・L・G・E・A・F・D・G・A・R・D・M・W・R・A・Yであり, アルギニンを欠いた form II型のSAAであることがわかった.
    また, この精製SAAを家兎に免疫することにより, 特異性の高い抗SAA抗体を作成することができた.
    われわれは, 今後この精製蛋白および抗体を用いて, 簡便な免疫測定法を開発したいと考えている.
  • 電気浸透のないセルロースアセテート膜を用いた場合
    長 裕子, 芝 紀代子
    1992 年 36 巻 4 号 p. 223-228
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    電気泳動学会により定められた標準操作法が電気浸透のないセルロースアセテート膜にも適用できるかどうかを検討した. 電気浸透現象のない膜としてセラフォーを選び0.4, 0.6, 0.8mA/cmの定電流での泳動, 160, 170, 180, 200Vの定電圧での泳動を行い比較した. 定電流では塗布位置がγ-グロブリン分画の外側にくるのは0.8mA/cmのみで同時再現性は平均3.83%と良好だった. 定電圧ではいずれの条件でも塗布位置がγ-グロブリン分画の外側にきたが, 200Vではジュール熱のためタンパク展開距離が短かった. 再現性においては180Vがよかった. このことから定電流では0.8mA/cm, 定電圧では180Vの条件がいちばん良好な結果が得られることがわかった. 0.8mA/cmと180Vで泳動像を比較した場合, 正常血清においては泳動像の差異は認められなかったが, 種々疾患血清において泳動像の相違がみられたが, この現象は微少Mタンパクバンドがある場合であった. その検出に関して最良の条件を選択できなかったが, 泳動条件によって検出が異なるということは新たな発見であった.
  • 井本 真由美, 山本 和彦, 櫻林 郁之介, 竹中 清悟, 尾鼻 康朗, 古田 格, 大場 康寛, 篠原 兵庫, 堀内 篤
    1992 年 36 巻 4 号 p. 229-234
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, 血清中および尿中に異常γ鎖が出現した免疫芽球性リンパ節症の一症例を経験し, 異常γ鎖の免疫化学的特性について検討した. その結果, 血清中には分子量38kDaの遊離γ1鎖が二量体 (72kDa) を形成して存在し, 尿中にも認められた. 異常γ1鎖の等電点は正常IgGに比しかなり酸性側に存在し, 糖鎖の修飾も示唆された. さらに分子構造を推定するためにパパイン処理を行ってみると, 正常IgGでは31kDaであるのに対し, 異常γ1鎖では32kDaとなり, これらのN末端のアミノ酸配列は既知のIgG1定常領域の120番目から136番目のアミノ酸と一致した. 以上より, 異常γ1鎖には正常γ鎖を55kDaとすると17kDaの欠損が認められることになり, これはVHドメインとCH1ドメインの分子量と一致することから, この異常γ1鎖はヒンジ部は残存しているもののVHドメインおよびCH1ドメインの大半が欠落していることが推定された.
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