尿中NAGアイソザイムはセルロースアセテート膜電気泳動によって, 陽極側から pre A form, A form そしてB form と3分画された. 健常人男性ではそれぞれ12.03±5.56, 73.15±4.77, 14.81±2.90%で, 女性では12.87±4.70, 65.47±4.61, 21.70±5.03%であった. 各分画パーセントでみると, pre A form が男女ともに10%以上あるのに対し, MCNS, MN, PGNの糸球体疾患, CRFではNAG総活性が健常人とほぼ同じ値にもかかわらず, いずれも pre A form が5%以下と低値となることが注目された. A form はMCNS 72.91±9.46%, MN64.66±7.97%, PGN60.65±16.41%, CRF60.38±5.40%, DM66.58±5.51%で健常人68.35±5.95%と比べてCRFが
p<0.01で有意差があるのみで他の腎疾患では差が認められなかった. B form はMCNS 22.65±10.30%, MN31.88±9.17%, PGN34.80±19.65%, CRF36.48±0.95%, DM22.42±5.78%で健常人19.11±5.48%に比べるといずれも高値であった. 腎疾患間でみると疾患特有のパターンはみられなかったが, B form がMCNSで有意に低値であった.
糖尿病患者58例では尿中蛋白濃度とNAGは相関係数0.570で正の相関が認められ, pre A form が相関係数-0.544, A form が0.153, B form が0.314と, pre A form とは負の相関, B form とは正の相関があることがわかった.
MCNS, MN, PGN, CRFの計21例についても行ってみたところ, NAGとは相関係数0.419と正の相関が認められたが, 各アイソザイムとは相関がみられなかった.
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