生物物理化学
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37 巻, 1 号
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  • 藤井 裕之
    1993 年 37 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    2次元電気泳動法を用いたニホンザルの神経根軸索由来タンパク質の分離法の至適条件について検討した.
    1次元目のIEFのアンホライン組成をpH 3.5~10: pH 5~7=1:4とし, 2次元目のSDS-PAGEのポリアクリルアミドの濃度勾配を7~20%Tとした場合に最良の分離結果が得られた. 膜結合性画分の分離におけるIEFキャピラリーゲルは, 9M尿素, 2% (v/v) ノニデットP40, 2% (w/v) アンホラインを含むものが操作上および分離上良好であった. これらの条件で, 神経根由来タンパク質は, 可溶性画分および膜結合性画分において, 350および520のスポットに分離された.
    この至適化された2次元電気泳動法を利用して, 末梢知覚および運動神経の比較や, 末梢神経の変性や再生に関わるタンパク質の経時的変化の観察が可能である.
  • 藤井 裕之
    1993 年 37 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    末梢運動および知覚神経の特異タンパク質の検出を目的として, 2次元電気泳動法によるニホンザルの前根・後根由来タンパク質の解析を行った.
    銀染色像において, 可溶性画分および膜結合性画分の前根・後根由来タンパク質は, それぞれ350, 520のスポットに分離された. これらの中に前根あるいは後根に特異的なタンパク質スポットは検出されなかったが, 分子量13~18kDa, 等電点6.3~6.6の範囲にある四つのタンパク質スポットにおいて, 量比の差が認められた.
    イムノブロッティング像では, カルボニックアンヒドラーゼが後根の可溶性画分に, より強い染色性と多様性を示した.
  • ラテックス凝集免疫比濁法 (LA法) を用いた迅速免疫定量法とその臨床的意義について
    永徳 広美, 野又 康博, 和田 厚文, 窪田 信幸, 山田 俊幸
    1993 年 37 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    われわれは, ラテックス凝集免疫比濁法により, SAAの免疫化学的測定法を開発した. 本法は, 迅速, 簡便, 定量性に優れており, 日常検査への応用が期待された.
    各疾患における検討成績から, CRPと比較したSAA測定の臨床的有用性として, 以下の可能性が示唆された.
    1) CRPより基礎レベルが高く, 変動幅も顕著であるために, 変動を捉えやすい.
    2) ウイルス感染症, 腎移植患者での経過観察の指標となる.
  • 西永 慧次
    1993 年 37 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    マウス肝臓リボソームは1.8%ポリアクリルアミドー0.5%アガロース混成ゲル (7.5% cross linkage gel) 電気泳動で分析された. リボソーム懸濁液をアガロースと混ぜて, ゲル溝に添加して, ゲルの濃度を変えないで, 二次元電気泳動 (turned gel electrophoresis) を行うと, 40Sサブユニットから最大80Sリボソームの六量体までのリボソームが分離されることが認められた. この分解能を高くした電気泳動は非変性のリボヌクレオ蛋白粒子を分析したり, 抗生物質によるリボソームの変化を研究する有力な手段の一つになると考える.
  • 大小原 知美, 細野 雅祐, 草刈 宏哉, 川内 廣明, 高柳 義男, 仁田 一雄
    1993 年 37 巻 1 号 p. 31-40
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    アユ卵由来の新しい36kDaラムノース結合レクチン (PA 36) はヒトB型赤血球よりもマウスの癌細胞を強く凝集した. PA 36はDEAE-セルロースイオン交換クロマトグラフィーとラムノース-Sepharose アフィニティクロマトグラフィーにより精製され, その凝集反応はラムノースによって最も強く阻害された. メリビオース, ラフィノース, スタキオース等のα-ガラクトシルグループを含む少糖の凝集阻害活性はラクトース等のβ-ガラクトシルグループを含む糖よりも強かった. 癌細胞および赤血球のSDS可溶化画分をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動, ブロッティングの後, ペルオキシダーゼ標識PA 36と反応させ, レクチン結合タンパク質を検出した. PA 36結合糖タンパク質は, マウスの癌細胞の場合は分子量66,000~72,000の領域のタンパク質, またヒトB型赤血球の場合はバンド4.1と4.2であろうと考えられた. これらの結果から, 非還元末端α-ガラクトシルグループを含む不均一な糖鎖構造から構成されている糖タンパク質は, 多くの異なった種類のマウスの癌細胞ばかりでなくヒトB型赤血球の表面にも存在することが示唆された.
  • 秋山 勝則, 吉井 富夫, 石山 〓夫
    1993 年 37 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    PCR-SSCP分析を用いてHLA-DQA型の検出を試みた. 95%ホルムアミドのコンホメーション液と10%グリセリンを用いた原法では見かけの分子量の小さなDNA断片が現れた. 著者らは10%グリセリン, 10%ホルムアミドと5%ショ糖を用いてコンホメーション液とゲル組成液の条件を統一化した電気泳動を行った. その結果, 10%ホルムアミドの場合, 見かけの分子量の小さなDNAは依然出現し, 5%ショ糖を用いるとDQA型の0101と0102の区別はできず, 10%グリセリンによってすべての型判定は可能になった.
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