南米ラクダ科動物 (リャマ, アルパカ, リャマナナコ) の血清蛋白質の二次元同定分布図を作成し, 血清蛋白レベルでの生理学的変動を検索するための基礎資料とするため, 二次元電気泳動 (2-D) 法およびウエスタンブロッティング法によって各成分の同定とパターンを分析した結果, 以下のような成績が得られた.
1) リャマ, アルパカおよびリャマナナコの血清蛋白質の同定分布図がそれぞれについて作成できた.
2) リャマ, アルパカおよびリャマナナコの血清は, それぞれ80, 83および78個のスポット成分に分離できた. これらのうち, 同定できた蛋白質成分は, IgM, IgG, FN, AT III, α
2M, C9, C5, C1q, C3a, C1s, BF, Cho-Es, Es, Pmg, C5, α
1AT, Hp, Cp, Hpx, α
1Mi, Tf, GcおよびAlの23種類であった.
3) Hp成分とTf成分間の分離域に, ラクダ科動物に特有な成分と考えられる三つのスポット ((1), (2), (3) 成分) 群が検出された. またHp成分はヘモグロビン成分との結合によると考えられる機能的異質性が4タイプ検出できた.
4) 今回調べた20頭の南米ラクダ科動物のGc成分には三つの遺伝子 (
A, Bおよび
C) からなる多型が確認され, それぞれの頻度は0.525, 0.050および0.425であった.
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