生物物理化学
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38 巻, 1 号
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  • 剛 勇, 久保 信彦, 櫻林 郁之介, 大塚 喜彦, 鈴木 潤, 野又 康博, 河合 忠
    1994 年 38 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    二次元電気泳動法, 二次元イムノブロット法によりアポHを分析した. 精製アポHは分子量が約49,000, pI5~7にある等電点を異にした六つのスポットとして出現した. また, ノイラミニダーゼ処理後の二次元電気泳動像では分子量約48,000, スポットが三つに, ともに減少した. これらのことから, アポHの構造上の多様性の一つの理由としてその糖鎖構造が関与していることが示唆された. さらにこの精製アポHが, ヒト赤血球に対して溶血活性をもつことを明らかにした.
  • 橋本 寿美子, 河野 均也
    1994 年 38 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    セ・ア膜電気泳動法による血清蛋白分画において, 緩衝液を取り替えた直後に諸条件は同一であるにもかかわらず, それまで観察されなかったβ分画が2峰性を示す現象がしばしば認められる. 緩衝液中のCaイオンの濃度の相違によって Tiselius の自由電気泳動上β分画が2峰性を示すとの報告があることから, 金属イオンに着目し検索した. 2種類のブリッジング用濾紙を緩衝液に浸漬後, その緩衝液中のCa, Mg, Feの濃度を測定した. その結果, 1種類に比較的高濃度のCaが検出され, その濾紙をブリッジング材として電気泳動を行うとβ分画が2峰性を示した. 免疫固定電気泳動による検索の結果, Caの存在によりC3がβ分画から slow-β分画にシフトすることが明らかになった. 血清蛋白分画のセ・ア膜電気泳動法で再現性の高いデータを得るにはブリッジング用濾紙の選択に配慮することが重要であると考えられた.
  • 横濱 道成, Jorge Oltra C., Jorge E. Correa
    1994 年 38 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    南米ラクダ科動物 (リャマ, アルパカ, リャマナナコ) の血清蛋白質の二次元同定分布図を作成し, 血清蛋白レベルでの生理学的変動を検索するための基礎資料とするため, 二次元電気泳動 (2-D) 法およびウエスタンブロッティング法によって各成分の同定とパターンを分析した結果, 以下のような成績が得られた.
    1) リャマ, アルパカおよびリャマナナコの血清蛋白質の同定分布図がそれぞれについて作成できた.
    2) リャマ, アルパカおよびリャマナナコの血清は, それぞれ80, 83および78個のスポット成分に分離できた. これらのうち, 同定できた蛋白質成分は, IgM, IgG, FN, AT III, α2M, C9, C5, C1q, C3a, C1s, BF, Cho-Es, Es, Pmg, C5, α1AT, Hp, Cp, Hpx, α1Mi, Tf, GcおよびAlの23種類であった.
    3) Hp成分とTf成分間の分離域に, ラクダ科動物に特有な成分と考えられる三つのスポット ((1), (2), (3) 成分) 群が検出された. またHp成分はヘモグロビン成分との結合によると考えられる機能的異質性が4タイプ検出できた.
    4) 今回調べた20頭の南米ラクダ科動物のGc成分には三つの遺伝子 (A, BおよびC) からなる多型が確認され, それぞれの頻度は0.525, 0.050および0.425であった.
  • 横濱 道成, 山崎 泰助, 亀山 祐一, 石島 芳郎
    1994 年 38 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    8種類の動物種から採材し, 最長1年4カ月間保存した臓器からのmtDNA抽出量と抽出されたDNAの純度の検定および泳動パターンの分析を実施し, 保存期間や採材条件がmtDNAの性状に及ぼす物理的影響を調べた. その結果, 長期間保存した動物臓器と新鮮材料間のmtDNA回収量および純度には有意な差異は認められなかった. また制限酵素によって切断したDNA断片の泳動パターンにも長期間の冷凍保存による物理的影響は認められなかった.
    交通事故などによって死亡したニホンジカの肝臓からも変性のないmtDNAが回収でき, その臓器を長期保存した場合でも, mtDNAの回収量や純度に大きな影響は認められなかった.
    ミトコンドリア分画に当たって未放血や脂肪の多い材料を用いるときは, 不純物 (蛋白質や脂肪) を除去するためフェノールやクロロホルムの処理操作を繰り返し行うよりも, ハサミによる破砕操作とホモバッファーによる洗浄を丁寧に繰り返し行うことによってDNA分析に使えるmtDNA量がより多く回収できた.
    野生動物などの事故死体および屠体は採取材料の条件として劣悪であるが, その材料はmtDNAを用いた細胞遺伝学的研究にも活用できることが示された. また事故死体から摘出した臓器を長期間冷凍保存した場合でも, RFLP分析が可能なmtDNA量を十分に回収できたことから, 遺伝子資源としても貴重な野生動物の事故死屠体が細胞遺伝学的研究へ有効に活用できることが示唆できた.
  • 前川 真人, 須藤 加代子, 藤田 清貴, 吉岡 尚文, 櫻林 郁之介, 李 水龍, 菅野 剛史
    1994 年 38 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    slow 型乳酸脱水素酵素 (LDH) B(H) サブユニットバリアントの1症例のDNA解析を行った結果, コドン320番でAからTへの点変異がみいだされた. これによりアスパラギン酸からバリンに置換され, 陰性荷電がひとつ消失し表面荷電がプラスに変位したサブユニットが合成され, 結果的に slow 型のBサブユニットバリアントの表現型をとったと考えられた. この変異によりMae IIIの認識配列が形成されるため, 容易に検出・確認が可能である.
  • 消化器系疾患を中心に
    菊野 晃, 北田 増和, 渡辺 伸一郎, 竹内 正, 菰田 二一, 坂岸 良克
    1994 年 38 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    ポリアクリルアミドディスクゲル (PAGディスク法) とセルロース・アセテート膜 (セ・ア膜法) によるアルカリ性ホスファターゼアイソザイムの差異を比較した. PAGディスク法ではセ・ア膜法に比し, 高分子型ALPを高頻度に検出できた. セ・ア膜法では高分子型ALPが pre-liver 型ALP領域に泳動されたが, PAG法では2種類の retained ALPに分別された. すなわち, 一方は, 濃縮ゲルの上部 (retained 2 R2) に, 他方は, 濃縮ゲルと分離用ゲルの間 (retained 1 R1) に検出され た. 血清を2.0% Triton X-100で処理すると, 2種類の retained ALPは biliary 型ALP領域に収束した1本のバンドとして検出されるようになった. また血流中のR1とR2 ALPの含量は各消化器系疾患の病態と相関していた. つまり, 良性の肝・胆道胆管系疾患では, R2にALPがより多く検出されるのに対し, R1 ALPは, 胆嚢癌や膵臓癌でより多く検出された. retained ALPを2% Triton X-100存在下で抽出・PIPLC処理し, この retained ALPを再度PAG法でALPアイソザイムの臓器由来を判定したところ, R2では小腸型・骨型および肝型ALPが含まれていたが, R1では肝型ALPが主成分であった.
    これらの知見から, retained ALPは, 臨床上R1とR2 ALPの臓器特異性から障害臓器を特定する有効な情報として利用可能と考えられた.
  • 山田 正二, 稲葉 瑞江, 寺田 省樹, 福田 守道
    1994 年 38 巻 1 号 p. 37-45
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    Cobalamin-binding capacity of human seminal plasma amounted on average, to 23pmol/ml which was 20 times larger than that of serum. Most of the binding capacity was, in contrast to serum, unsaturated. Cobalamin-binders of seminal plasma separated into two distinct peaks on gel filtration; their elution positions and reactivity with antisera revealed that the largest portion of binding capacity is attributable to haptocorrin and the smaller portion to transcobalamin respectively. Total cobalamin-binding capacity and the ratio haptocorrin to transcobalamin varied significantly among samples examined. On column isoelectrofocusing, major peaks were seen at pH4.7 and 6.6; the former peak corresponding to 121 kDa reacted with an antihaptocorrin serum. One peculiar feature of the cobalamin-binder in seminal plasma is marked heterogeneity of components with pI below 4 as observed by the modified agarose-gel isoelectrofocusing technique. This suggested the presence of increased amounts of sialic acid residues on the binder molecule. The physiological role of cobalamin-binders in seminal plasma, such as the relationship to spermatogenesis, is still largely unknown. Detailed analysis of the binder may open up a new arena of cobalamin bioeffects.
  • 岡崎 登志夫, 荒川 秀司, 村岡 松生, 尾田 高志, 長井 辰男, 菅野 剛史
    1994 年 38 巻 1 号 p. 47-49
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
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