心筋梗塞発症後には梗塞部位の伸展と非梗塞部心筋の肥大という左室形態の再構築, いわゆる remodeling が生じる. 本研究では, remodeling に関与する心筋構造タンパク質の変化を明らかにするために, ラット心筋梗塞モデルを作製し, 非梗塞部左室心筋を, 二次元電気泳動法により経時的に検討した. 3週後では梗塞群で心筋構造タンパク質の含量にコントロール群と差はなかったが, 脱リン酸化デスミンの割合が増加していた. 6週後では梗塞群でデスミンとアクチンの含量が有意に増加し, 脱リン酸化デスミンの割合がさらに増加したことが認められた. 細胞骨格タンパク質であるデスミンは, 脱リン酸化により重合し, フィラメントを形成する. 心筋梗塞後の非梗塞部心筋では, デスミンは心筋梗塞後に加わる負荷に対してまず質的に変化し, 次いで量的に増加することにより, 心筋細胞の機能, 形態維持に重要な役割をき果たし, remodeling に関与していることが示唆された.
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