セルロースアセテート膜電気泳動によって糖尿病患者の尿蛋白分画を行い, 糖尿病性腎症の早期発見において尿蛋白分画の有用性について検討した. 尿蛋白分画は健常人ではI, II, III, IV群と命名した4群に分かれるが, 糖尿病患者ではさらに1群が加わり5群に分かれた. 新たに加わった群を0群としたが, これは著しく増加したアルブミン分画とわずかに検出される微量のグロブリン分画を特徴とする. 出現頻度は0, I, II, IIIそしてIV群はそれぞれ36.0%, 13.3%, 17.3%, 10.7%そして22.7%であった. 糖尿病患者での特徴は0群が多いことであった. 各群の特徴について, 各種尿中成分値および臨床的所見と合わせて検討した. その結果, 尿蛋白分画は糖尿病腎症の早期発見のマーカーとなり, しかも, 糸球体性, 尿細管性の障害の見分けができることがわかった. 尿蛋白分画によって糖尿病性腎症になりやすいハイリスクグループがわかり, かつ腎症の進行程度の予測が可能となった.
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