われわれは, PAG電気泳動法を用い, 慢性腎不全患者の血清および尿ALPアイソザイムの解析を行ったところ, 分離ゲル上部に出現する atypical ALP-1 band を発見した. 従来進行性腎炎のマーカーとしては, NAGやβ
2マイクログロブリン (β
2MG) が利用されてきた. そこで, 今回はこの atypical ALP-1とβ
2MGの相関性を求めた. 対象は, 糖尿病性腎症患者 (DM) と糖尿病を合併していない慢性腎不全患者 (non DM) である. 分離ゲル上部に出現する atypical ALP-1 band は, 慢性腎不全患者で高頻度に認められた. Atypical ALP-1の出現頻度は, 血清, 尿中とも non DMに比べDMで有意に高かった. DMと non DMの尿中β
2MG値は, non DMに比べDMで有意に高値であった. 血清中および, 尿中の atypical ALP-1の出現はβ
2 MGと密接な関係が示唆され, 腎尿細管障害を反映するものとして利用できるものと考えられた.
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