蛍光標識糖鎖電気泳動 (FACE) を用い, 関節リウマチ (RA) および癌腫患者血清IgG糖鎖を解析し, 併せて抗ガラクトース欠損IgG抗体との関連性について検討した. 蛍光標識糖鎖はPAGEにより主に5つの分画 (Fr1~5) に分離された. Fr4 (ガラクトース欠損オリゴ糖) は, 健常者に比較しRAおよび癌腫では有意に増加 (
p<0.01) し, Fr1 (2ガラクトース結合オリゴ糖) の減少によるものであった. したがって, IgG異常糖鎖の増加はRA患者血清に特異性は認められなかった. Fr3 (モノシアル酸結合オリゴ糖) はRAで減少傾向, 癌腫では増加傾向を示し, 後者ではFr5 (2シアル酸結合オリゴ糖) の明らかな増加 (
p<0.01) が認められた. Fr4と抗ガラクトース欠損IgG抗体は正の相関を示し, ガラクトース欠損IgGが30%以上を占めるRAおよび癌腫では抗ガラクトース欠損IgG抗体が著明に増加し, 本自己抗体産生との関連性が示唆された.
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