交叉濾紙泳動法によつて脱水素酵素と基質および助酵素の複合体形成を証明した。
乳酸および焦性ブドー酸を電場に垂直にぬり,電場に平行にぬつた乳酸脱水素酵素と泳動によつて交叉せしめると,酸の線は交点でくぼみを作る。すなわち両者は直接反応する。まつたく同様にしてリンゴ酸とリンゴ酸脱水素酵素の複合体形成をも証明した。
助酵素と脱水素酵素との複合体形成についてはDiphosphopyridine nucleotide (DPN)およびDPNHを電場に垂直にぬり,脱水素酵素を平行にぬつて泳動交叉せしめ,両者の直接反応することを証明した。
用いた酵素は乳酸脱水素酵素,リンゴ酸脱水素酵素,アルコール脱水素酵素,グリセリンアルデヒド3燐酸脱水素酵素である。いずれの場合にもDPNHの方が強く反応した。このことはアルコール脱水素酵素の場合にすでに明にせられている事実と一致する。
DPN,DPNHは乳酸および焦性ブドー酸とは反応しなかつた。
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