日本化粧品技術者会誌
Online ISSN : 1884-4146
Print ISSN : 0387-5253
ISSN-L : 0387-5253
30 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 傳田 光洋
    1996 年 30 巻 4 号 p. 377-387
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    加齢に伴う皮膚表面の変化, 例えば表皮レベルのこじわ, 肌のきめの変化, 乾燥, しみなどは, 化粧品によるスキンケアで改善されうる問題であると考えられる。また皮膚表面の角質層の機能変化は, 表皮のみに留まらず皮膚全体に影響を及ぼす。これらのことから表皮-角質層の機能の加齢に伴う変化について検討することが, 化粧品による抗老化スキンケアを考える場合, 極めて重要な課題であることは明らかである。この総説では加齢に伴う表皮機能の変化について特に角質層とそのバリアー機能に重点をおいて論じる。また加齢に伴う皮膚表面の問題を解決するために有意義であると考えられる最新の報告についても紹介する。
  • 高木 宏司, 秋丸 三九男, 高野 昭子, 木幡 康則, 田端 勇仁
    1996 年 30 巻 4 号 p. 388-395
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    レシチンの水溶性, 酸化安定性, 色, 匂いを改善する目的で, レシチンの脂肪酸残基中の不飽和結合をヒドロキシル化した。さらにそのヒドロキシル化レシチンの安全性や安定性, 物理的, 界面化学的性質について評価した。
    in vitro試験の結果, このヒドロキシル化レシチンが無刺激で安全であることが判明した。また目的通り水溶性, 酸化安定性, 色, 匂いが改善された。さらに天然由来の界面活性剤としての良好な乳化性能だけではなく, 可溶化性能も併せ持つことがわかった。
    続いて取り扱い性を改善する目的で, ヒドロキシル化レシチンをグリセリン溶液とした, ホスファチジルコリン70%含有ヒドロキシル化レシチン50%グリセリン溶液 (以下SH 50) を評価した。SH 50はヒドロキシル化レシチンとしての性質を持つだけではなく, 優れた可溶化性能を示し, 界面活性剤や化粧品原料との相互溶解性に優れ, ヒアルロン酸より高い吸水・保湿性能を示し, ラウリル硫酸ナトリウムの刺激を緩和するなど優れた化粧品用活性成分であることがわかった。
  • 阿部 寛, 中西 紀元, 三上 直子
    1996 年 30 巻 4 号 p. 396-401
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    石鹸は古来, その安価さと使用時の泡立ちの豊かさ, 洗い上がり時のさっぱり感から, もっとも手軽に用いられてきた身体洗浄料基材であった。しかしながら, 近年の素材のマイルド化の流れの中で, すすぎ時のきしみ感や洗い上がりのつっぱり感等が指摘されることもあった。
    そこで石鹸の優れた特性を保ちつつ, マイルド感のある界面活性剤の探索を行ったところ, 脂肪酸のリジン塩が, 以下の特性を有する優れた洗浄料基材となることを見いだした。
    (1) 皮膚一次刺激性, 眼粘膜一次刺激性ともに, 一般のマイルド系界面活性剤と同等以上の低刺激性である。
    (2) 他の脂肪酸塩類に比べ速やかに生分解される。
    (3) 低濃度から高濃度にいたるまで良好な起泡力を示し, また適合pH領域が広く, 弱アルカリ性でも使用可能である。
    (4) 官能面では, 洗浄時には泡立ちの早さ, 泡量, 泡保ちに優れ, 使用後にはさっぱりしながら, しっとり, すべすべした感触を感じさせる。
  • 新規アミノ酸系界面活性剤
    塩尻 栄二, 佐野 啓吾, 小山 匡子, 伊能 正浩, 服部 達也, 吉原 秀樹, 岩崎 敬治, 川崎 由明
    1996 年 30 巻 4 号 p. 410-418
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    新規アミノ酸系界面活性剤 (GCK; N-ココイルグリシンカリウム塩) の開発を行いその特性と応用について検討した。GCKは石鹸と比較して中性からアルカリ性領域で優れた泡性能を有する事が分かった。泡の弾力性を評価する指標としてビンガム降伏値を用いた。GCKを石鹸と混合することによりビンガム降伏値が相乗的に増加した。これはよりクッション性, 粘弾性に富んだ泡に改質されたことを示している。官能面では「さっぱり」しかつ「つっぱらない」という特性である事が官能評価で確認された。
    GCKは石鹸より広いpH領域で溶解するが, これは液状洗浄剤を開発する上で好ましい特性である。また, 適切な粘度の配合品を調製する際に重要な要因である溶液のレオロジー特性を調べた。GCK溶液はNaClを添加する事で容易に増粘し究極的にはダイラタントなゲルを形成した。このゲル (GCK/NaCl=20wt%/10wt%) は25℃において偏光顕微鏡観察により液晶構造を形成していることが明らかになった。
    ドレイズテストと5日間の連続ヒトパッチテストを行った結果, GCKは石鹸と比較して皮膚, 眼粘膜に対して共に安全性が高い事が確認された。
    以上の結果よりGCKは優れた用途特性と特徴的な感触を有しており皮膚洗浄剤として好適の香粧品素材であると考えられる。
  • 岡 雅美, 丸尾 勝彦, 堀尾 強
    1996 年 30 巻 4 号 p. 419-427
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    運動による痩身に対する関心が高まっているが, 運動により身体各部位のどこがどの程度細く引き締めることができるのか, 明確にされていない。よって今回筆者らは, 自転車エルゴメータを用いた5ヵ月間のペダリング運動の効果測定指標として, 従来よりの体重, 体脂肪, 全身持久力に加え, 身体各部位 (ウェスト, ヒップ, 太もも, ふくらはぎ, 足首) の変化も確認した。その結果, 男性より女性でより高い痩身効果が認められ, ヒップ, ふくらはぎが, 特に女性で細くなっていた。また, 体脂肪が筋肉に置き換わって身体が引き締まったことも確認できた。なお, ペダリング運動期間中の食事による摂取エネルギーに大きな変化はなかったので, 今回の痩身効果は主に運動による効果と言えるであろう。
  • 大場 愛, 黒田 秀夫, 釈 政雄, 高橋 慎一
    1996 年 30 巻 4 号 p. 428-440
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    従来の保湿剤は, 角層水分量を左右する角層の2つの重要な機能 (水分蒸散防御機能と吸保湿機能) のどちらか片方のみを昴進するものであったため, 効果が限られていた。
    以前我々は両親媒性の高分子poly [2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine (MPC)] を合成し, そのユニークな特性を見出すとともに健常女性皮膚に対する使用試験で角層水分量の増加, 経表皮水分蒸散量の減少, 皮膚表面状態の改善が認められたことを報告した。
    角層水分には自由水と結合水があり, 病的角層の結合水量は正常角層より少ないことから角層の水分保持能に対する結合水の重要性が示唆されている。今回, poly (MPC) は角層内に浸透して角層細胞間脂質やその他の角層水分保持成分に働き結合水を増加させることがわかった。その効果は従来の保湿剤よりも優れており, 特にラメラ構造に対する作用では自由水出現後も結合水量を増加させるという従来の保湿剤にはないpoly (MPC) 独特の効果を示した。そしてpoly (MPC) の保湿剤としての優れた効果は, 従来の保湿剤では充分な効果が認められなかった乾燥性荒れ肌や乾燥性皮膚疾患への使用試験において確認され, poly (MPC) が角層の2つの機能の両方に対して増強作用を示す有用な素材であることが示された。
  • 岡部 文市, 柿島 博
    1996 年 30 巻 4 号 p. 441-447
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    パーソナルコンピュータを使用して, 乳化化粧料の水相中パラベン濃度を簡便に算出するシステムを構築した。乳化化粧料の防腐力には水相中防腐剤濃度が大きな影響を与えると言われている。そして, 水相中の防腐剤濃度については, 水相-油相分配の考え方を基に算出する方法が提案されている。
    しかし, この方法は計算の手順が複雑である為, 多くの時間を必要とする。そこで, 処方値 (油相成分, 水相成分, 及びパラベン) をキーボード入力するだけで, 水相中のパラベン濃度が数値とグラフで表示される簡便なシステムを構築した。このシステムは表計算ソフト (MS-EXCEL for Macintosh ver. 5. 0) に数式とデータを入力して作成した。数式はBeanの式とKurupの式, 及び多価アルコールによる補正式を使用した。データは実測した単純系の油-水分配係数を使用した。
    システム化により電卓等を使う方法に比べて算出時間の大幅な短縮が認められた。
  • 出原 信幸, 吉岡 隆嗣, 芹澤 陽子, 松田 憲雄
    1996 年 30 巻 4 号 p. 448-452
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    近年, 半永久染毛剤が手軽に毛髪の色調を変化させることが出来るなどの理由から, 多くの人に受け入れられている。半永久染毛剤には, 酸性染料, 有機酸の他にベンジルアルコールのような染料の浸透剤が配合されている。しかし, このようなキャリアー成分は, 毛髪にダメージを与え, 乳化を不安定にするなどの欠点がある。
    今回, 乳化方法, 界面活性剤, コンディションニング成分を工夫することによって, 油性成分を安定に配合することを可能とした乳化型半永久染毛剤の製剤化を検討し, 若干の知見を得たので, 報告する。
  • 藤山 喜雄
    1996 年 30 巻 4 号 p. 453-456
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
feedback
Top