日本化粧品技術者会誌
Online ISSN : 1884-4146
Print ISSN : 0387-5253
ISSN-L : 0387-5253
31 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 松枝 明
    1997 年 31 巻 4 号 p. 373-384
    発行日: 1997/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    紫外線の生体への有害性が叫ばれてから久しい。化粧品分野では基礎化粧品, メイクアップ化粧品を問わず, さまざまの紫外線防御技術の開発がおこなわれてきている。本稿ではメイクアップ化粧品に絞って紫外線遮断素材とその加工方法, 分散技術と紫外線遮断, そしてそれらの評価について解説したい。
  • 福田 實
    1997 年 31 巻 4 号 p. 385-395
    発行日: 1997/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    紫外線防御化粧品には紫外線防御効果が表示されている。UVBに対する防御効果はSPF (Sun Protection Factor) が, UVAに対する防御効果はPA gradeで表示されている。これらの表示の根幹を構成するのが, 紫外線防御効果の測定方法で, 日本では日本化粧品工業連合会技術委員会傘下の専門委員会が基準策定にあたった。SPF測定法基準は、SPF専門委員会により1992年1月に発効し, UVA防止効果測定法基準は, 世界で最初に, 紫外線専門委員会により, 1996年1月に発効された。
    現在, 世界の何処の国でも, 統一されたUVBとUVAの2つの防御効果測定基準を持つ国はない。これら基準を策定する過程で, SPF専門委員会並びに紫外線専門委員会で検討し, 決定するに至った主な条項に解説を加えると共に, 紫外線防御化粧品の評価と表示方法について諸外国の現状を日本と対比しながら概説した。
  • 細川 均, 福田 啓一, 菅原 享, 高野 敏, 堤 武弘, 澤田 道隆
    1997 年 31 巻 4 号 p. 403-412
    発行日: 1997/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    水性ネイルエナメルの開発には解決すべき技術的課題が多く, 長年の間化粧品技術者の夢であるとされてきた。なかでも最も克服が困難な点は, 化粧持続性の確保である。
    ポリマーエマルジョンを皮膜形成剤とする水性ネイルエナメルにおいては, 持続性はポリマーエマルジョンの様々な物性に左右されるが, 著者らはポリマー粒子同士の不完全な融着が著しく持続性を低下させることを見いだした。
    そこで, ネイルエナメルとして必要な室温での速乾性や皮膜強度等の条件を満足しつつ, 融着を完全なものとするために様々な検討を行った結果, 特殊な合成法によってあらかじめポリマー粒子内部に粒子間の拡散融合を促進する物質を局在させたポリマーエマルジョンが, 完全な融着を示し, かつ持続性も良好であることが明らかとなった。著者らはこれを融着促進型ポリマーエマルジョンと名付け, その諸物性や融着メカニズム, さらにこれを用いて開発された水性ネイルエナメルの特性等について検討を行ったので報告する。
  • 長沼 雅子, 福田 實, 新井 清一, 河合 通雄, 鈴木 正, 広瀬 統, 正木 仁, 本好 捷宏, 吉井 隆
    1997 年 31 巻 4 号 p. 420-428
    発行日: 1997/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    近年, UVAの有害性が明らかにされ, 紫外線防止の必要性がUVB領域にとどまらずUVA領域にも及んできた。それにともないUVA防止効果の製品への表示が求められるようになり, 日本化粧品工業連合会では, 1992年紫外線専門委員会を設置し, UVA防止効果測定法を確立するために, 研究を開始した。
    測定法の指標を定めるため, 日本人皮膚にUVA照射を行った。その結果, 照射直後から黒化が認められ, 10-15J/cm2のUVA曝露量で照射2-4時間後まで持続する黒化の得られることがわかった。本反応を持続型即時黒化, その反応を引き起こす最小の紫外線量を最小持続型即時黒化量 (Minimal Persistent Pigment darkening Dose: MPPD) と定義した。さらにUVA防止効果を示す指数としてPFA (Protection Factor of UVA=試料塗布部のMPPD/試料無塗布部のMPPD) を用いることとした。
    次に3% 2-ethylhexyl p-methoxycinnamate, 5% 4-tert-butyl-4'-methoxydibenzoylmethaneを含んだクリームを標準試料として選定し, この試料を用いて, 測定用光源, 被験者の肌タイプ, 判定時間のPFAに及ぼす影響を検討した。本研究で用いたUVA光源, 肌タイプII, III, IV, また判定時間2-4時間の間ではPFAに違いの生じないことを確認した。これらの結果に基づきUVA防止効果測定法基準を確立し, 製品へのUVA防止効果の表示は分類表示とした。
  • 加齢にともなう肌の物理特性変化と, くすみとの関連
    金子 治, 川口 由起子, 石川 好江, 稲垣 和正
    1997 年 31 巻 4 号 p. 429-438
    発行日: 1997/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    加齢にともなう肌表面の物理特性-凹凸や透明度-の変化と, 目で見て感じるくすみとの関連を明らかにすることを目的として, 肌表面微小凹凸度と皮膚分光透明度という2つの物理特性値を新たに定義し, その数量化の方法を考案するとともに, 前報で報告したくすみ度Yと, それら2つの物理特性値間の相関関係を調べた。
    結果として, メラニンの多寡による呈色度合いM1と血流・血行のよしあしM3のほかに肌表面微小凹凸度, 皮膚分光透明度という2つの物理特性値を新たに追加することによって, 目で見て感じるくすみをより精緻に, より客観的に数値化できることを示唆するデータが得られた。
  • 河野 善行, 山下 豊信, 片桐 千華, 高橋 元次
    1997 年 31 巻 4 号 p. 455-460
    発行日: 1997/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    来るべき高齢化社会において, 化粧品や医薬部外品は重要な役割を果たすと考えられているが, 我々は皮膚老化を防御する戦略として, 乾燥防御, 紫外線防御に加えて酸化防御を提唱してきた。本報告では, 特に酸化防御の重要性について論じた。今までに著者らは, CL-HPLCシステムを用いた皮表における脂質過酸化反応の検討から, ヒト皮膚においては一重項酸素がキーとなっている活性酸素種であることを報告してきたが, 本報告において, 皮表脂質とヒポタウリンの一重項酸素との反応速度定数を測定して明らかにした. さらに光酸化条件下において, ヒト皮表において第一の酸化ターゲットであるスクアレンの酸化防御効果をヒポタウリンが発現することを明らかにした。一方ヒポタウリンは, 哺乳類において含硫アミノ酸の代謝産物の一つであることが知られており, 皮膚, 眼球, 肝臓, 脳, 心臓, 血清中等でその存在が認められている。またその酸化ストレスへの生体防御機構としての存在意義も議論されている。皮膚において生体の酸化防御機構を再構築, 強化する有用性を化粧品における新たなコンセプトとして提案した。
feedback
Top