日本化粧品技術者会誌
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32 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 中村 直生
    1998 年32 巻3 号 p. 233-239
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    メークアップに関連した光学的研究が年々盛んになるにつれ, それらを応用した種々の商品が市場を賑わしている。インターネット上の化粧品各社のホームページにも光学効果を利用した新しい化粧仕上がりの紹介や, 光学効果を演出するための素材, メカニズムの紹介が目に付くようになった。メークアップすることの主目的は好ましい化粧仕上がりを得ることである。そして化粧仕上がりの善し悪しを判断するものが視覚である以上, メークアップ研究は光学的研究なくしては語れないものといえる。化粧品分野で光学という言葉を使用する場合は紫外線と可視光線を対象とする場合がほとんどである。そのなかで今回は上記化粧仕上がりとの関連から, 可視光線に絞って紹介することとしたい。
    よく知られているようにヒトの視覚器官は非常に優れたものである。ヒトの視覚と同レベルの評価能力をもつ測定機器は残念ながらまだ存在しないため, 肌やメークアップ化粧品の評価においては官能評価に頼る場面が多いのも事実である。しかし複合的で複雑な評価は別として, 色彩値 (色相, 明度, 彩度) や光沢値等といった比較的単純な評価については, すでに高い精度をもつ優秀な測定機器が開発され汎用されている。これらの光学測定機器を利用することによって官能評価だけでは得られにくいデータの数値化や客観化がなされ, 肌の評価や新しいメークアップ効果の開発に大きな進歩がもたらされたことはいうまでもない。今回は最近開発された新しい化粧仕上がりをいくつか例示しながら, 肌の光学特性測定とメークアップ化粧品の有用性評価について紹介したい。
  • 倉橋 隆
    1998 年32 巻3 号 p. 240-246
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    われわれの香り感覚は鼻腔内の嗅細胞繊毛膜において始まる。この情報変換の分子機構はGタンパク介在性の二次メッセンジャー系によって仲介され, 最終的には細胞膜の陽イオンチャネルを開口し, 一価陽イオンや二価陽イオンを細胞内に流入させることによって, 化学信号を電気的信号 (生体信号) に変換する。陽イオンチャネルを通るCaはさらに二つの重要な役割を果たすことになる。一つは, 細胞内からClチャネルを開口することで, イオン環境が変化した場合にもイオン電流を恒常的に保つ役割をもつ。また, cAMP感受性イオンチャネルに対してフィードバックをかけることによって, 細胞の順応を引き起こす。これとは別に, においマスキングはにおい物質そのものによってイオンチャネルが閉じてしまうことが原因らしい。
  • 川崎 通昭
    1998 年32 巻3 号 p. 247-252
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    香りがヒトの生理や心理に影響を与えることは, 古くより経験的にわかっていたが, これを現代科学の尺度での証明を試みだしたのは1980年以降である。これらの香りの効用の研究の代表的なものを, わが国の例を主に紹介する。その香りの効用の主なものは, 疲労感の軽減効果, 作業能率の向上, 睡眠への作用, ストレス緩和効果, やすらぎやリラックス, 免疫能への影響, 意識水準への影響などである。
  • 堀内 哲嗣郎
    1998 年32 巻3 号 p. 253-262
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    においの計測方法は, においの人間的側面からの計測と物質的側面からの計測に大別される。人間的側面からは, 官能評価による心理計測と, 生理変化 (中枢神経系, 自律神経系, 内分泌系, 免疫系) を指標とする生理計測がある。物質的側面からは, 物理・化学的手法による成分計測がある。本稿は, 物質的側面からの計測として, 現在よく用いられているにおいセンサー法, 検知管法そしてガスクロマトグラフ (GC) 法を紹介する。めざましい進化を遂げるガスクロマトグラフ法の最新情報として, ヘッドスペース法, GC-オルファクトメトリー法そしてマルチディメンションGC法にとくに焦点を当て, その技術の神髄を紹介する。
  • 宮前 裕太, 金子 智佳子, 相羽 智晴, 神保 和子, 岡谷 吉雄
    1998 年32 巻3 号 p. 263-271
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    著者らは, 容器に樹脂を用いた化粧品 (トイレタリー商品を含む) に危惧されている容器の変形 (へこみ) を未然に防止する方策を検討し, へこみの原因が, 内容物の気体吸収による容器内の減圧と, 内容物による容器の軟化という二つの現象に起因することを見いだした。また本研究から, へこみ現象の評価法を確立し, 原料の種類によって気体を吸収し容器内を減圧にする能力 (以下減圧度という) と容器を軟化させる能力 (以下軟化度という) が異なるということと, 内容物の減圧度は構成原料の減圧度から計算によって推定できるという知見を得た。これにより, 任意の減圧度, 軟化度を有する内容物の調製が可能となり, 調製したモデル処方とモデル容器の検討により, 内容物の減圧度や軟化度と容器変形との関連性を評価し, 「容器変形の未然防止策」を得た。
  • 大林 恵, 京谷 大毅, 枡田 邦彦, 岡野 由利, 正木 仁
    1998 年32 巻3 号 p. 272-279
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    長期間にわたるUVA暴露は, 皮膚の「たるみ」や「深いしわ」に特徴付けられる光老化を引き起こす。このような臨床的症状は細胞外マトリックスの構造変化に由来すると考えられる。正常な真皮構造を維持するために, コラーゲン, エラスチンおよびグリコサミノグリカンなどの細胞外マトリックス成分は産生・分解を繰り返している。この産生・分解のアンバランスが真皮構造の変化の原因となると考えられる。光老化による真皮マトリックスの構造変化を阻止あるいは改善する方法として, われわれは紫外線暴露により活性が上昇する細胞外マトリックス成分分解酵素 (コラゲナーゼおよびエラスターゼ) の活性をコントロールすることに注目した。そこで, それぞれの酵素活性に対し阻害作用を有する有効成分を探索した。その結果, ユーカリ抽出物がI型コラゲナーゼおよびヒト線維芽細胞由来コラゲナーゼに対して, またセイヨウニワトコ抽出物が炎症に伴い浸潤してくる好中球由来エラスターゼ (セリンプロテアーゼ) の活性に対して高い阻害作用を示すことがわかった。これらのことはユーカリ抽出物がUVA暴露後に線維芽細胞が分泌するI型コラゲナーゼ (MMP-1) を阻害することによりI型コラーゲンの分解を阻害することを示唆する。さらに、セイヨウニワトコ抽出物は好中球由来エラスターゼ活性を阻害する成分として有効である。
  • 徳永 裕司, 小笹 知彦, 内野 正, 安藤 正典
    1998 年32 巻3 号 p. 287-291
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    わが国において, UVAに対する紫外線防御剤のin vivo評価法は1996年以来設定されている。この方法は実験にヒトの背部皮膚を用いるため, 被験者に苦痛を与える方法である。そこでわれわれはUVA in vivo評価法の代替法としてin vitro評価法を検討した。トランスポアサージカルテープに紫外線防御剤2mg/cm2を塗布したのち, そのテープを0.1mMリボフラビン溶液, 8mMメチオニン溶液および1.5mMニトロブルーテトラゾリウム溶液の混液 (4:1:5) 0.1mlを入れた96穴マイクロプレート上に置き, 350-380nmのUVAを照射した。3分間隔で30分間550nmでの吸光度を測定したとき, 吸光度と時間の間の回帰方程式は直線を示した。紫外線防御剤のテープへの塗布と無塗布のものを用いたときに得られた直線の傾き, STおよびSOからin vitro PFA値SO/STを求めた。11試料について得られたin vivo PFA値とin vitro PFA値を比較したとき, 両者にはよい相関関係が認められ, in vitro評価法としての可能性が示唆された。
  • 石神 政道, 岡 憲明, 山田 純子, 山田 隆, 黒田 秀男, 岡田 正紀
    1998 年32 巻3 号 p. 292-299
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    しわやしみ, 炎症等の各種皮膚障害において, 活性酸素, フリーラジカル種の関与が指摘されている。今回われわれは皮表上のスクアレンに着目し, まず初めにフリーラジカル種により生成すると考えられるスクアレン過酸化物の皮膚への影響をヘアレスマウスを用いて調査した。その結果, 表皮の皮厚, 角化進行等各種皮膚障害を生じることが判明した。次にフリーラジカル種による酸化障害を防御することを目的として, フリーラジカル種の発生しやすい悪条件下においても十分に生育している植物の環境適応能に着目し, 各種ラジカルを消去する植物由来天然素材の探索を行った。その結果, 各種ラジカル消去活性の高い植物数種を選抜した。また, これら植物の採取時期の限定, 新鮮葉の利用, 育種による能力向上, エキスの組合せ等により, その能力をさらに高めることができた。これら選抜された植物エキスを配合したクリームは, 実際のヒト皮膚上において太陽光による皮脂過酸化を有意に抑制した。また, ファンデーション等で使用される酸化チタンへの太陽光照射によるスクアレン過酸化に対しても効果を発揮した。
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