トリメチルシロキシケイ酸 (TMS) は, 撥水性, 潤滑性, 持続性に優れる保護被膜が得られることから, 多くの化粧品に配合されている。著者らは, このTMSの光学的性質の改善を目的に, ゾル-ゲル反応を利用し, シリコンアルコキシドとチタンアルコキシドを共加水分解, ならびに, 重縮合させると同時に, それらの反応途上にある中間組成物をトリメチルシリル化することによって, TiO
2を含有するシリコーンポリマー (TMST) を調製した。TMSTの基本構造は, ≡Si-O-Si≡架橋構造 (シロキサン結合からなる主骨格) 中にTiO
2が化学的に結合し, 均一に分散された状態にあり, [(CH
3)
3SiO
1/2]:[SiO
2]:[TiO
2] (モル比1.4:1.2:0.4) の単位から構成される。TMSTは被膜形成能を有し, その被膜はTiO
2を9.0%含有しているにもかかわらず, TiO
2が高分散固定化されているため透明性に優れている。また, TMSTは従来から用いられているTMSの溶解性やその保護被膜が発現する効果 (転写防止および撥水性) を有することに加え, TiO
2を含有することに起因するユニークな光学特性 (屈折率の増加, 紫外線遮へい能) を兼備する。TMSTは新規な化粧料用被膜形成剤として有用性が高いことが明らかとなった。
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