日本化粧品技術者会誌
Online ISSN : 1884-4146
Print ISSN : 0387-5253
ISSN-L : 0387-5253
33 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 森田 正道, 渡邉 龍彦, 久保 元伸, 嶋本 一生, 菅原 康夫
    1999 年 33 巻 4 号 p. 343-353
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    化粧品にパーフルオロアルキルエチルアクリレート (FA) 共重合体を用いることにより, 次の二つのことが可能となった。まず, 第一に, コモノマーが疎水性のFA共重合体を用いて, 親油性媒体の化粧品製剤中にフッ素原料を安定に配合することが可能となった。これはFA重合体が, フッ素化合物/非フッ素系溶剤の界面張力を低下する能力があることに由来する。この技術はパーフルオロポリエーテルを非フッ素系溶剤中に乳化した非水エマルション, および, 大量のフッ素処理粉体を安定に配合できるファンデーションに応用できた。第二に, コノマーが親水性のFA共重合体で基材を処理すると, 空気中/水中のいずれの環境でも油をはじく性質を付与できた。これは平滑な基板 (PETフィルム) と粉体 (タルク) の2種類の基材を用いた表面化学的測定から証明された。この技術はあらゆる環境で皮脂に強い化粧品に応用できる可能性がある。
  • 稲場 隆一, 斎藤 栄一, 小林 敏明, 藤山 喜雄
    1999 年 33 巻 4 号 p. 354-363
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    トリメチルシロキシケイ酸 (TMS) は, 撥水性, 潤滑性, 持続性に優れる保護被膜が得られることから, 多くの化粧品に配合されている。著者らは, このTMSの光学的性質の改善を目的に, ゾル-ゲル反応を利用し, シリコンアルコキシドとチタンアルコキシドを共加水分解, ならびに, 重縮合させると同時に, それらの反応途上にある中間組成物をトリメチルシリル化することによって, TiO2を含有するシリコーンポリマー (TMST) を調製した。TMSTの基本構造は, ≡Si-O-Si≡架橋構造 (シロキサン結合からなる主骨格) 中にTiO2が化学的に結合し, 均一に分散された状態にあり, [(CH3)3SiO1/2]:[SiO2]:[TiO2] (モル比1.4:1.2:0.4) の単位から構成される。TMSTは被膜形成能を有し, その被膜はTiO2を9.0%含有しているにもかかわらず, TiO2が高分散固定化されているため透明性に優れている。また, TMSTは従来から用いられているTMSの溶解性やその保護被膜が発現する効果 (転写防止および撥水性) を有することに加え, TiO2を含有することに起因するユニークな光学特性 (屈折率の増加, 紫外線遮へい能) を兼備する。TMSTは新規な化粧料用被膜形成剤として有用性が高いことが明らかとなった。
  • 菅原 享, 川相 みずえ, 鈴木 敏幸
    1999 年 33 巻 4 号 p. 364-369
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    ネイルエナメルを長期にわたって使用し続けることにより, さまざまな爪のトラブルを引き起こす場合があることが知られている。爪のおもなトラブルとしては黄変, 折れ, 二枚爪 (爪甲層状分裂症) 等があげられる。そこで, これらのトラブルのうち, 比較的発生率の高い折れおよび二枚爪に着目し, それらの発生原因に関して, 爪中の水分と爪の力学的特性および構造の観点から基礎的な検討を行った。その結果, 爪の水分含有量は角質層 (人の足底) と比較して低かった。吸湿, 吸水による爪の膨潤は, 厚さ方向で顕著であった。吸水過程における爪の動的粘弾性の測定から, 吸水にともなって爪の状態が変化していることが示唆された。また, 折れおよび二枚爪の発現機構を提案した。
  • 藤井 誠, 新本 浩一
    1999 年 33 巻 4 号 p. 370-376
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    リラクゼーション効果をもつ化粧品を開発するには, 心理作用を客観的に評価する必要がある。従来から, その評価手法として脳波解析が行われており, 安静時の脳波と刺激呈示時の脳波を比較することで, 刺激の効果を定性的に評価している。しかし, 脳波は安静時においても情動や環境などの影響を受け大きく変化することから, 定量的な評価を行うためには環境などの影響を分離する必要がある。そこで, 本論文では刺激に依存する成分のみを抽出する新しい手法を提案し, 実際にペパーミント, およびスペアミントの周期的香料刺激を呈示した場合に計測される脳波を解析した。その結果ペパーミントでは4-6Hz近辺, スペアミントでは9-11Hz近辺の脳波成分の増加をとらえることができた。これらのことから提案した手法は, 脳波解析に有用な手法であることが示唆された。
  • 河野 弘美, 菅沼 薫, 古川 利正
    1999 年 33 巻 4 号 p. 377-385
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    20℃, 65%RHを標準として, 低温低湿を15℃, 30% RH, 高温高湿を30℃, 80% RHと温湿環境条件を変化させたときの毛髪の物理特性 (表面摩擦と曲げ特性) の測定と官能評価を行った。日本人20代女性の頭髪 (化学処理歴のない) を用い毛束10束を作製し健康毛とし, うち5束をパーマ, ブラッシング, ブリーチ, ブラッシングの行程を4回繰り返して損傷毛とした。またトリートメント剤として代表的なカチオン化セルロースおよびシリコーンオイルで健康毛, 損傷毛を処理し同じように測定評価したところ, 次のような結果になった。 (1) 物理値と官能値との間に相関関係が認められた。 (2) 健康毛, 損傷毛ともに高温多湿では摩擦係数が小さくなり「なめらかに」なった。 (3) 健康毛, 損傷毛ともに高温多湿では曲げかたさが小さくなり「やわらかく」なった。 (4) 物理特性および官能評価を行う場合は, 標準状態または低温低湿環境下で実施したほうが, トリートメント効果などの微細な差を検討しやすい。
  • 藤山 喜雄
    1999 年 33 巻 4 号 p. 387-390
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
feedback
Top