日本化粧品技術者会誌
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33 巻, 2 号
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  • 田村 隆光
    1999 年 33 巻 2 号 p. 99-108
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    化粧品分野の洗浄剤開発において, 界面活性剤の選択は重要な課題であろう。身体に直接作用するため, 単に高い洗浄力を有するだけでなく, 皮膚に対して低刺激であることや, 使用における好ましい感触などが要求される。毛髪や皮膚に対する吸着現象を理解することは, 種々の界面活性剤を用いて望ましい洗浄剤を開発するための重要な基礎知識となる。本総説では, シャンプーやリンスなどの洗浄剤に用いられてきた主要界面活性剤の変遷などを含め, 界面活性剤の毛髪や蛋白質に対する吸着挙動について概説する。
  • 酒井 裕二
    1999 年 33 巻 2 号 p. 109-118
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    われわれは洗顏により, 余分な皮脂や過酸化脂質, さらには肌上に吸着した空気中のほこり等を取り除くことで, 肌を清潔に保つことができる。洗顏料を開発するうえで考慮すべき要素として, 機能性, 皮膚安全性, 使用法の3点があげられる。これら3要素はおのおの密接に関係しており, どれか一つ欠けても洗顏料として満足する品質は得られない。またこの3要素に最も影響を与えるのが, 洗浄機能主剤の界面活性剤である。すなわち, この界面活性剤の特性を把握しつつ, 各要素をバランスよく高質化することこそ, 肌に理想的な洗顏料開発を可能にする。今回は, この3要素を中心にこれまで検討してきた研究を報告し, 理想的な洗顏料のあるべき姿について考察した。
  • 川副 智行, 渡辺 智子, 神戸 哲也, 難波 富幸, 植村 雅明, 田村 宇平, 鳥居 健二, 奥田 尚広, 松本 純一, 内山 雄二朗
    1999 年 33 巻 2 号 p. 119-127
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    従来, 頭髪用水性ゲル状セット剤 (スタイリングジェル) に用いられる合成系の増粘剤としては, ポリアクリル酸をアリル蔗糖で架橋したカルボキシビニルポリマーが, 増粘性, 透明性, 匂いの面で優れ, 汎用されている。しかしながら, このポリマーはアニオン性のポリマーを基本構造としているために, スタイリングジェルとして処方を構築する場合に配合することが必要となるセッティングポリマーは, アニオン性, ノニオン性に限られてしまい, セット力・感触に優位があり, なおかつ頭髪上で乾燥した被膜が剥離し, 白く粉をふいたようにみえる現象の少ないカチオン性セット樹脂や, 耐水性に優れた両性セット樹脂の配合は困難であった。そこで, われわれはカチオン性や両性のセット樹脂との相溶性に優れた増粘剤の開発を目指して検討した結果, カチオン性の性質を与える成分としてアミノアルキル (メタ) アクリレートをポリマー中に存在させた, 毛髪への密着性・増粘性・耐塩性に優れた新規カチオン性ポリマーを開発することができた。この新規カチオン性ポリマーは増粘剤でありながら, フレーキングの起こらない優れたセッティングポリマーとしての性質をあわせもっている。この新規カチオン性ポリマーの特性を応用することにより, フレーキングがなく, べたつかず, 毛髪の感触に優れ, しかも安定性・透明性において, 従来の頭髪用ジェルよりも優れた新タイプの頭髪用スタイリングジェルを開発することができた。
  • 緒方 明子, 小牟礼 なつみ, 辻野 義雄, 樋上 照男
    1999 年 33 巻 2 号 p. 128-133
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    表面および内部構造が不均一な染色毛の色味評価における反射スペクトル測定は, 試料である染色毛からの散乱光の影響のため, 高い再現性を得ることがむずかしい。光音響分光法 (photoacoustic spectroscopy, PAS) は光の吸収を音波の強弱として間接的に測定するため, 散乱光の影響を受けにくく, そのため, 染色毛のような散乱性物質のスペクトル測定に対して有効であると考えられる。本実験では染色毛の色味評価にPASを適用し, 反射分光法との比較検討を行った。その結果, 光音響スペクトル (PAスペクトル) は, 反射スペクトルにみられる散乱光の影響を受けにくく, しかも再現性の高いスペクトルであることが確かめられ, 染色毛の色味評価においてPASが有効であることがわかった。また, PASを用いた染色毛の染まりの深さ方向分析の可能性についても検討を行ったが, 光が毛の中心部と端に入射される場合とでは染色された部分の厚みが異なるため, 深さ方向分析にはさらなる工夫が必要であることがわかった。
  • 野村 利夫, 横大路 清美, 作田 晃司
    1999 年 33 巻 2 号 p. 134-139
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    メチルハイドロジェンポリシロキサンとポリオキシエチレンジアリルエーテルを付加反応させ, 親水性が付与されたシリコーン3次元架橋体を合成した。得られたシリコーン架橋体は低粘度ジメチルポリシロキサンに膨潤しゲルを作るとともに, そのゲル中に多量の水を取り込み, 安定なW/Oエマルションを作ることが可能になった。このW/Oエマルションは, 通常のシリコーン系W/O乳化剤であるポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体による乳化物に比較して, 内相の水滴が大きく, 多量の水を乳化でき, 広範囲の温度で安定である。これは, 本架橋体が高分子の分散物でできており, 水やジメチルポリシロキサンなどの油剤に不溶であること, 分散物が親水性および疎水性部分をあわせもつため, 界面に配向し界面膜を効率よく形成すること, 外相のジメチルポリシロキサンがシリコーン架橋体によってゲル化されており, ゲルが温度変化による影響を受けないなどの理由によると考えられる。
  • 丹呉 豊, 新本 浩一
    1999 年 33 巻 2 号 p. 140-146
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    毛髪のつやは, 頭髪製品の評価にとって重要な項目である。そのため従来から毛髪のつやを測定する方法は数多く提案されている。しかし, これらの手法には毛髪を採取する必要がある, 測定装置が大型で計測に時間がかかるなどの問題点を抱えており, 被験者やその毛髪に負担をかけず毛髪のつやを簡便に測定できる装置はいまだ開発されていない。本研究では, これらの問題点を解決するために新しい計測装置の開発を行った。本装置は毛髪を切断せず直接計測できる, ヘアスタイルや毛髪色に影響されない, 小型である, 計測に必要な時間は0.2秒ときわめて短いといった優れた特徴をもつ。本装置を用いて被験者84名の毛髪を評価した。計測結果と専門評価者による目視評価との関係から, 両者の相関は高く本装置による計測が毛髪のつやの評価に有用であることが示唆された。
  • 神保 和子, 安藤 信裕, 石原 一彦
    1999 年 33 巻 2 号 p. 147-153
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    角層は水分を保持するとともに, 肌内部からの水分蒸散や肌外部からの物質の透過を抑制することで生体最外層のバリアーとして機能している。この角層の機能を高める物質として, 釈らはpoly (2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine (MPC)) の複合機能を報告しているが, われわれはさらに新しい特性を見いだした。すなわち, poly (MPC) が形成する水和ゲル膜が肌内部からの水分蒸散や肌外部からの物質の透過を抑制し, バリアー的に作用するという特性である。われわれは, このpoly (MPC) 水和ゲル膜が角層のバリアー機能が低下した肌に対して有効であると考えた。評価の結果, poly (MPC) 配合化粧料の連用により被験者の肌状態が改善, 角層細胞面積も有意に回復した。これは, poly (MPC) が肌上で水和ゲル膜を形成して低下した角層機能を補い, 肌内部からの水分蒸散と肌外部からの物質の透過が抑制され, 正常な角層状態へと変化した結果と考える。つまり, poly (MPC) の形成する水和ゲル膜は角層類似の機能を有し, 水和ゲルバリアー膜として機能することが示唆された。
  • 布施 学, 新本 浩一
    1999 年 33 巻 2 号 p. 154-162
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    従来から, 色彩および質感の評価には変角測色法が用いられている。しかし, この手法は, 入射角や受光角を変化させながら測定するため, 膨大な労力と時間を必要とする。また, 1点の測定しか行うことができないため, 質感の評価に必要な2次元の情報を得ることは事実上不可能であった。これらの問題を解決するために, 色彩と質感を同時に計測する新しい手法を提案する。この手法では, 複数の光学フィルタとCCDカメラを用いて対象物体を撮像し, 得られた反射光強度から逆計算を行うことで, 物体上のすべての点の分光反射率の同時計測を実現する。提案した手法に基づき装置を開発するとともに, 実際にファンデーションを塗布した球体の測定を行い, 約16000点に及ぶ分光反射率の同時計測が可能であることを示した。さらに, 波長ごとにフーリエ変換を施し, そのパワースペクトルの高周波成分の変化から質感の評価を行った。これらの結果から, 提案した手法は, 従来手法と比べ明らかに優れていることが示された。
  • 徳永 裕司, 鄭 然孫, 内野 正, 安藤 正典
    1999 年 33 巻 2 号 p. 163-169
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    化粧品の乳液およびクリーム中でのエストラジオールおよびエチニルエストラジオールの定量法は衛生試験法追補1995にすでに設定されている。しかしクロロホルムおよびジクロロメタンのような生体に有害な試薬が分析操作に使われている。有害な試薬を除き, 同時に, ほとんどの化粧品に含まれ, エストラジオールおよびエチニルエストラジオールの定量を妨害するパラベン類の影響を受けない新しく, 簡便な定量法を検討した。乳液あるいはクリームを水浴中で濃縮し, 残留物中のエストラジオールあるいはエチニルエストラジオールをエタノールで抽出した。抽出物をODSカラム (TSKgel ODS80TM, 4.6×150mm), 移動相として水/アセトニトリル/メタノール混液 (3:1:1) および蛍光検出器 (励起および蛍光波長: 290および310nm) を用い, 高速液体クロマトグラフィーで分析した。この方法を用いることにより, われわれは乳液およびクリーム中のエストラジオールおよびエチニルエストラジオールを防腐剤のパラベン類あるいは他の賦形剤の影響もなく定量することができることを明らかにした。
  • 1999 年 33 巻 2 号 p. A2-A3
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
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