日本化粧品技術者会誌
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35 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 長谷 昇
    2001 年 35 巻 4 号 p. 289-297
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    W/Oエマルション製剤は耐水性に優れているため, 乳化型ファンデーションの製剤に適している。とくに油剤にシリコーン油を用いた場合は使用感も良好である。そこで界面活性剤としてシリコーン鎖にグリセリルエーテル基を導入した誘導体に着目し, シリコーン系W/Oエマルションを安定化するために必要なW/O型乳化剤としての構造条件を得た。さらに最適構造を有するグリセリルエーテル変性シリコーンを用いて, 低粘度W/Oエマルシヨンを調製した。ここではその安定化機構と乳化型ファンデーションヘの応用例について述べる。
  • 福原 忠雄, 小松 一男, 吉田 誠一, 阪本 興彦, 山口 道廣
    2001 年 35 巻 4 号 p. 298-304
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    セミミクロLCに, 内径3mmのプローブを組み込んだ400MHzのNMRを接続し, セミミクロLC/NMR装置を開発した。セミミクロカラムには内径1.5mm長さ25cmのカラムを用い, 移動相に重水と重アセトニトリルの混液を流量100-125μL/minで用いて種々の検討を行った。本装置は, 1時間あたりわずか6-7.5mLの移動相しか必要とせず, その優れたコストパフォーマンスにより, 高価な重水素化溶媒を移動相に使用できるので, 容易に移動相信号を極小化することが可能となった。また, セミミクロLCの濃縮効果による感度の向上が得られ, セミミクロLC/NMRの優れた性能が示された。本法の, p-ヒドロキシ安息香酸エチルを試料としたときの解析限界は, ON-FLOW法でμgオーダー, STOP & FLOW法でサブμgオーダーであった。また, 化粧品原料分析への応用として, 生薬エキス末中の成分分析へ適用したところ, 分取することなく含有成分をモニターできたことにより, 本システムが迅速な有効成分の探索に有用であることが実証された。
  • 内野 正, 徳永 裕司, 安藤 正典
    2001 年 35 巻 4 号 p. 305-311
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    著者らは前報で昭和61年の厚生省告示 (昭和61年3月12日薬審二第100号) により化粧品への配合禁止成分となっている塩酸プロカインおよび塩酸ジブカインの高速液体クロマトグラフィーによる定量法を作成し, 化粧品への応用について検討した。本論文では配合禁止成分の有無を効率よく確認し, 化粧品の安全性を確保するため, 配合禁止成分となっているビタミンL1および塩酸ピロカルピンの高速液体クロマトグラフィーによる定量法を作成し, 化粧品への応用について検討した。化粧水および乳液中のビタミンL1または塩酸ピロカルピンをメタノールで抽出し, ODSカラム (Shiseido CAPCELLPAK C18, 4.6×250mm), 移動相として50mMリン酸塩緩衝液 (pH5)/アセトニトリル混液 (37:3) または (19:1), 検出器として紫外吸光光度計 (測定波長244nmまたは214nm) を用い, 高速液体クロマトグラフィーで分析した。この方法を用いることにより, 化粧水および乳液中のビタミンL1または塩酸ピロカルピンを原料の影響もなく定量することができることを明らかにした。
  • 永井 啓一, 安増 知子, 田村 勝, 五十嵐 章紀, 藤山 昌彦, 小林 哲夫
    2001 年 35 巻 4 号 p. 317-324
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    新規な界面活性剤であるリンゴ酸モノラウリルアミドについて, 皮膚洗浄剤としての応用を研究した。水酸化カリウムで中和したリンゴ酸モノラウリルアミドK (以下リンゴ酸アミドと略) は, すすぎ時にカルシウム塩を形成して優れたさっぱり感を発現する。また, 洗浄後の皮膚のつっぱり感はラウリン酸K>POE (3) ラウリルエーテル硫酸Na>ラウロイルグルタミン酸K>N-ラウロイル-N-メチル-βアラニンK≥リンゴ酸アミドの順に弱い。リンゴ酸アミドの皮膚残留量はラウリン酸Kに比べ1/10であり, 角質層内部への浸透性も低い。さらに, リンゴ酸アミドはいわゆる選択洗浄性を有する界面活性剤であり, 天然保湿因子 (NMF) の溶出量も少ない。リンゴ酸アミドは製剤を処方する上で必須となる他の界面活性剤との併用においても, リンゴ酸アミドの特長を発現する。たとえば, ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインのようなすすぎ時にぬめり感をもつ界面活性剤と混合しても, ぬめり感を抑制しリンゴ酸アミド特有のさっぱりとしたすすぎ感触が得られる。皮膚残留量が比較的多く, つっぱり感の強いラウリン酸Kにリンゴ酸アミドを添加すると, ラウリン酸Kの皮膚残留量は減少し, つっぱり感は弱くなった。リンゴ酸アミドはこのような特長をもつ有用な皮膚洗浄基剤である。
  • 舛田 勇二, 高橋 元次, 坂本 哲夫, 島田 美帆, 伊藤 雅英, 谷田貝 豊彦
    2001 年 35 巻 4 号 p. 325-332
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    実使用試験における美白剤の効果を実証する方法として, われわれはすでに顔画像から画像処理によりシミ・ソバカスを抽出し数値化するREMO-STAINシステム (Remoto Stain Measurement System) について報告した。しかし, REMO-STAINシステムでは, 測定部位の色差 (ΔE) を指標に定量化を行うため, 色素沈着のみでなく赤ら顔のような皮膚の赤みのムラも同時に測定され, 結果に影響を与えるといった問題点があった。今回, われわれはLambert-Beer法則を皮膚の光学モデルに適用し, 皮膚分光反射率曲線の逆数の対数を吸収曲線とみなし, メラニンおよびヘモグロビンの各吸光度で重回帰分析することで皮膚中のメラニン・ヘモグロビン量を推定する方法を開発した。さらにUV照射を行った皮膚および温水にて赤色化させた皮膚を用いて本測定法の妥当性を検討した。REMO-STAINシステムにこの考えを搭載することによりニキビ, 赤ら顔等の皮膚の赤みの影響を受けない新しいシミ・ソバカス定量化システム (New REMO-STAINシステム) を構築した。
  • 大江 昌彦, 谷田 佳子, 山村 達郎
    2001 年 35 巻 4 号 p. 333-337
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    肌の透明感は女性の理想の肌状態にも挙げられており, その肌状態の特性を解明することは化粧品の開発に重要な意味があると考える。肌状態に関する意識を調査したところ, 透明感を感じる要素として, キメが細かくみずみずしいなど肌に水分が十分に保持された状態が必要であることが示された。そこで, 肌の透明感と角質層の水分量との関係を明らかにするために, 剥離した角質層の水分量を変化させたときの角質層の透過率を分光光度計で測定した。角質層の水分量が38%以下では, 水分量の増加とともに透過率は上昇したが, 水分量が38%以上では反対に水分量の増加とともに透過率は低下した。また, 健常女性90名の頬に水負荷した場合の分光反射率を測定したところ, 皮膚表面の水分量が多いパネルや, 肌に透明感を感じるパネルでは水負荷後の分光反射率が高くなることが認められた。これらの結果から, 水分量の増加にともなう角質層の透過率の変化が, 肌の透明感を感じる一つの要因であると思われた。
  • 三村 邦雄
    2001 年 35 巻 4 号 p. 339-345
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
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