日本化粧品技術者会誌
Online ISSN : 1884-4146
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36 巻, 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 奥山 雅樹
    2002 年 36 巻 3 号 p. 177-183
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    アイメーク化粧品, 特にマスカラ, アイライナーは, 目元や睫, 瞼に塗布することにより, 目元を際立たせ, 顔に表情を与え, 魅力的な容貌をつくりだすといったポイントメーク化粧品であり, 化粧の心理的要素をつかさどるアイテムのひとつである。本報では, アイメーク化粧品の有用性および最近の製品化技術について紹介する。
  • 中林 治郎
    2002 年 36 巻 3 号 p. 184-191
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    口紅製品は, 成人女性のほとんどが使用するメークアップアイテムであり, 若さや美しさなどの心理的欲求を満足させる重要なアイテムでもある。近年, 製剤化技術および素材開発の進歩に伴い, 口紅製品の機能や品質が向上し, 消費者は, 数多くの口紅製品から自分の嗜好にあったものを選択できるようになってきた。本報では, ポイントメーク化粧品の中から, 口紅を取り上げ, 美的有用性と保護的有用性を中心に紹介する。
  • 加藤 智子, 内藤 昇
    2002 年 36 巻 3 号 p. 192-197
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    部分親水化した三次元架橋型シリコーン (PHCS) を用いて高内水相の領域を検証したところ, 従来の炭化水素系界面活性剤と同様にゲルエマルションを形成した。しかし, その乳化滴は, 従来の炭化水素系界面活性剤のゲルエマルションの乳化滴よりも非常に大きかった。また, 各々の活性剤, デカン, 水の3成分系状態図を比較すると, PHCSのゲルエマルションは, 従来の炭化水素系界面活性剤のゲルエマルションよりも広い領域に存在しており, 安定であった。この安定化の機構について検証したところ, エマルションの連続相はゲル化しており, 界面は状態変化が少ないことがわかった。このことは, PHCSの特異な構造に起因しているものと思われる。PHCSの基本骨格がポリシロキサン鎖であるため温度変化に対する分散性の変化が少ないこと, シリコーン鎖は疎水性が高いこと, および高分子量であることから, その結果, 乳化滴は大きいが安定性の高いゲルエマルションが形成されると考えられる。
  • テープストリッピング, 界面活性剤の影響と部位差の検討
    山下 豊信, 桑原 智裕, 高橋 元次
    2002 年 36 巻 3 号 p. 198-206
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    皮膚観察用のin vivo共焦点顕微鏡が開発され, ヒト皮膚内部構造に関して非侵襲的に細胞レベルでの検討が可能になってきた。われわれは本測定機器 (Vivascope 100, Lucid社, USA) を導入し, 健常人を対象に皮膚深さ方向における構造・細胞形態変化の観察, SDS (Sodium Dodecyl Sulfite) やテープストリッピングによって惹起された実験的肌荒れ, 露光部位・非露光部位による表皮厚, 表皮-真皮界面の凹凸状態 (アンジュレーション) の変化について検討した。表皮突起に関しては得られた皮膚水平断面像を積み重ね三次元立体構築を行い, 縦断層像を作成し, Snakes法を用いて表皮-真皮界面を抽出した。その結果, 皮膚深さ方向において細胞形態は大きく変化することがわかった。基底細胞の大きさは約100μm2程度で角層表面での大きさは約1200μm2と分化・角化とともに細胞は偏平化し, 10倍以上大きくなることが示された。SDS, テープストリッピング処理によって表皮は著しく肥厚し (2倍以上), その影響は25日後でも認められた。一方, 表面形態は25日後ではほとんど処理前の状態に戻っていた。このように外的刺激に対して角層表面での回復は比較的早いものの, 皮膚内部への影響はそれよりも長く続くことが示唆された。露光部位 (頬, 前腕外側), 非露光部位 (上腕内側) における表皮厚, 表皮突起の状態を調べた結果, 頬では他の部位に比べ著しく表皮が肥厚しており, 表皮-真皮界面の凹凸が激しいことがわかった。以上の結果からin vivo共焦点顕微鏡はこれまで困難であった皮膚内部構造を非侵襲的に捉えることができ, 化粧品の有用性実証に役立つ機器と考えられた。
  • 毛髪の短径・長径測定と曲げ応力評価法
    曽我部 敦, 安田 正明, 野田 章
    2002 年 36 巻 3 号 p. 207-216
    発行日: 2002/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    頭髪上での毛髪のハリ・コシ感は, 毛髪の曲げ硬さやねじり硬さ, 毛髪間の摩擦による影響など複数の物理特性の組合せによるものであるが, 最も基本的な因子の一つには, 毛髪一本の硬さがあげられる。そこで毛髪の硬さについて, 曲げ応力測定と毛髪径測定を行い, 材料力学的見地から, ヤング率による評価を試みた。毛髪の短径および長径を正確に測定するために, レーザー光を利用した毛髪径測定装置を開発した。また, 毛髪をキューティクル, コルテックスより構成される, 異なるヤング率を持った二層構造と仮定し, 毛髪全体のヤング率と物理的にキューティクル層を剥離させたコルテックス部分のみからなる毛髪のヤング率測定を行い, 材料力学的な解析によりキューティクルのヤング率を算出した。その結果, キューティクルはコルテックスの4倍程度硬いことがわかった。また, 毛髪の短径, 長径およびキューティクル層の厚さの測定結果と併せて, 曲げ応力に対するキューティクルとコルテックスの寄与率を算出したところ, キューティクルの曲げ応力への寄与率は, 全体の約6割に達し, 曲げ応力の発生はキューティクルが重要な役割を担っていることを見出した。
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