日本化粧品技術者会誌
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38 巻, 4 号
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  • 酒井 裕二
    2004 年 38 巻 4 号 p. 271-279
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    基礎化粧品とエマルションは密接に関連し合っている。そのため, エマルション技術の向上が化粧品の品質向上につながり, 化粧品技術の進歩がエマルション研究を底上げする図式となっている。そこで筆者を含めた化粧品あるいはエマルション研究者らは, エマルションの主要部分である油の化学構造と剤型に焦点を当てて研究を進めることで, 高機能化粧品を開発した。油の化学構造に関しては, 特異的性質を有する高極性油を開発し, クレンジング料に応用した例が知られている。また油およびエマルションの性質を有機概念図と関連させて説明している点も注目された。一方の剤型に関しては, 多層状態にすることで, 有効成分の安定化および皮膚への浸透性を向上させた例が知られている。同時に高圧乳化機を用いることで, より効果的になることも報告されている。
  • 生田 香織, 飯倉 登美雄, 伊藤 久代, 横塚 暁人, 高橋 元次
    2004 年 38 巻 4 号 p. 280-291
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    オイル/ワックス/水/界面活性剤で作られる系の硬度とワックスの結晶状態との関連性を検討するため, 走査型電子顕微鏡を用いてその内部構造を観察した。高温・溶融したワックス (水素添加ホホバ油, セレシン, ポリエチレンワックス, カルナウバロウ, マイクロクリスタリンワックス) をアルミ箔で渦巻き状に自作・成形した鋳型に流し込み, 固化した試料について電子顕微鏡観察を行った。その結果, 水素添加ホホバ油においてはフレーム状の結晶構造, いわゆるカードハウス構造が観察されたが, 他のワックスにおいては観察されなかった。水素添加ホホバ油と水との混合系において, フレーム状の構造は丸みを帯び, さらにその上に小さな粒子が存在する像が観察された。一方, 他のワックスでは水と混合しても結晶構造に全く変化は認められなかった。このことは水素添加ホホバ油は特異的に水と高い親和性を持つと考えられた。オイル/ワックス/水/界面活性剤系において, ワックスの種類を変えることにより, その内部構造, 硬度, 水粒子の分散状態は大きく変化した。セレシン/カルナウバロウの系では, カードテンションメーターで測定した硬度は高く, 内部結晶構造は細かく無定形であった。また水粒子径は水素添加ホホバ油配合系に比べ小さかった。一方, 水素添加ホホバ油配合系はカードハウス構造に似た結晶構造を示し硬度は低かった。オイル/ワックス/水/界面活性剤系においてワックスの結晶構造は系の硬さや水の分布状態に重要な役割を果たしているものと考えられた。
  • 佐藤 真由美, 森 忍, 野尻 浩, 吉塚 直伸, 武馬 吉則
    2004 年 38 巻 4 号 p. 292-298
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    美容上重要な要素である顔面形状に与える加齢および体型の影響を検討した。すなわち, 超音波Bモード法を用い, 年代による顔面部局所の皮下組織厚を測定し, 年齢および, 体型の指標としてBody Mass Index (BMI) との関係を解析した。健常な日本人女性10代から70代まで各年代14名ずつの計98名を被験者とし, 前額部, 眼窩部, 頬部, 下顎部の4ヵ所を超音波Bモードで測定した。その結果, 顔面の皮下組織厚は概ね体型 (BMI) に強く影響されてしまうが, 眼窩部では年代が高くなるほど統計的に有意に厚くなった。逆に, 前額部では, 有意性は認められなかったが加齢に伴い皮下組織が薄くなる傾向があった。さらに被験者から「痩身体型群」「肥満体型群」を抽出して重回帰分析したところ, 前額部と眼窩部の皮下組織厚の増減は「痩身体型群」では年齢が, 「肥満体型群」ではBMIが影響しているものと考えられた。以上から, 顔面部皮下組織厚は概して体型に依存するが, 眼窩部皮膚は加齢に伴って肥厚し「痩身体型群」で顕著であった。
  • 貝瀬 千尋, 金子 晃久
    2004 年 38 巻 4 号 p. 299-303
    発行日: 2004/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    セレブロシドとステリルグリコシドを含有したコーンスフィンゴ糖脂質の化粧品原料としての有用性を, 化学的な安定性や肌への効果の観点から検討を行った。その結果, セレブロシド, ステリルグリコシドの最適な組成を明らかにし, その最適化されたコーンスフィンゴ糖脂質は優れた水分閉塞能を示し, 実際に肌に高い保湿効果をもたらしたことから, 化粧品原料として有用であることがわかった。
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