日本化粧品技術者会誌
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39 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 中山 秀夫
    2005 年 39 巻 4 号 p. 264-273
    発行日: 2005/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    化粧品皮膚炎には, 慢性刺激性皮膚炎, アレルギー性接触皮膚炎, アレルギーで色素沈着を残す色素沈着型化粧品皮膚炎があり, この他アトピー性皮膚炎の増悪 (アトピー性接触皮膚炎), 二次的なステロイド皮膚症 (酒〓様皮膚炎), および最近ではこすると失明する恐れのある眼瞼皮膚炎などがある。1980年代から日本では感作性の強い香料をガイドラインを設けて使わない方針が出現し, 諸外国に比べてそのアレルギーは著しく減った。感作性の強い二つの色素, R-219とY-204の禁止も化粧品の安全性を改善するのに著しく役に立った。しかし国によってはこれら二つの色素を禁止していないので, 輸入に当たっては注意すべきである。化粧品皮膚炎になったら, いったん全化粧品, 石鹸を中止して, パッチテストをおこない, 明瞭なアレルギー反応がみつかったら, 以後それらが零になっている化粧品以外使わないようにすると, ふつう全治する。現在このために用いうる化粧品はアクセーヌ®である。弱い刺激が原因になっているときは, 全治後に品数を半分にしたり, 夜の化粧を中止するなど, 皮膚への負担を減らした使用が再発防止に有効である。植物成分を多種入れると刺激性が増す可能性があり, 今後要注意である。
  • ポリメチルシロキサンによる表面処理の影響
    浜元 秋雄, 野上 信弘, Susan J. Muller
    2005 年 39 巻 4 号 p. 274-281
    発行日: 2005/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    粉末分散化粧品の配合を検討する場合, 分散体のレオロジー挙動を把握することは極めて重要である。
    特に濃厚分散系はshear-thickeningのような異常粘性挙動を示すことが知られており, 希薄分散系とは異なる捉え方が必要である。本稿では高濃度球状シリカ分散体のレオロジー挙動を, 粒子-粒子, 粒子-分散媒の二つの界面相互作用の観点からモデル的に検討した。その結果, 未処理シリカを充填した水系サスペンションでは, ある条件下でshear-thickeningを示すことが明らかとなった。また分散媒のpHを高くする, すなわちシリカ等電点 (pH=4) から離れると, 静電気反発力が増加しせん断粘度が減少することがわかった。次にシリカをポリジメチルシロキサン, メチルハイドロジェンポリシロキサンにより表面疎水化処理し, 溶液系サスペンションのレオロジー挙動を検討した。すべての溶液系においてshear-thickeningは観察されず, ポリジメチルシロキサン処理はせん断粘度を低下させることが明らかとなった。サスペンションの粘度に影響する粒子表面処理は, 粒子-粒子相互作用だけでなく, 粒子-分散媒相互作用も変化させることがわかった。
  • 金田 勇, 曽我部 敦, 中島 英夫
    2005 年 39 巻 4 号 p. 282-289
    発行日: 2005/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    非イオン性界面活性剤の逆ミセルという制限された空間内で高分子電解質をわずかな架橋性モノマーとともに重合することで, 水中で大きく膨潤するミクロゲルを重合した。ミクロゲルはアニオン性モノマーである2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸 (AMPS) と非イオン性モノマーであるジメチルアクリルアミド (DMAA) からなり, 架橋性モノマーとしてメチレンビスアクリルアミド (MBA) を用いた。まず相図的検討により, 重合温度である65℃付近でW/Oマイクロエマルション相が出現する重合組成を決定した。重合されたミクロゲルは重合系から再沈殿で回収し, 水溶媒に再分散してレオロジー挙動を調べた。非架橋サンプルに比べ本ミクロゲルは極めて高い増粘効果を示し, 最適な架橋密度が存在することが明らかになった。また各種条件, すなわち, 溶媒のpH, 塩濃度, またアルコール濃度の増粘効果への影響を調べたところ, 本ミクロゲルは広いpH範囲で安定に増粘可能であり, 既存の増粘剤に比べ耐塩性があり, アルコールをも増粘可能な多機能な増粘剤として化粧料に応用可能であることが明らかになった。
  • 岡本 亨, 松下 裕史, 松浦 恵衣子, 増田 優
    2005 年 39 巻 4 号 p. 290-297
    発行日: 2005/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    固形油分と流動油分を用いて, 合一に対して安定な可視サイズ (0.05mm-3mm) のエマルションを調製する技術を開発した。可視サイズの油性粒子を調製するためには, 固形油分の選択が重要であり, 両親媒性の固形油分, 特にベヘニルアルコールのような高級アルコールが最適であった。粒子の割断面観察と示差走査熱量測定から, 粒子の周辺部に両親媒性の固形油分に富むシェルが生成し, 粒子の凝集や合一を防止していると考えられた。粒子サイズを巨大化することにより, 塗布初期はみずみずしい感触が感じられ, その後塗布の過程で粒子が壊れ, 油分が皮膚になじみ, しっとりとした感触が得られた。さらに, 粒子サイズを大きくすることで加水分解に対して不安定な脂溶性薬剤を安定に保持することができた。脂溶性薬剤や疎水性粉体のような化粧品に用いられる有効成分のリザーバーとして活用が期待される。
  • 松井 正
    2005 年 39 巻 4 号 p. 299-306
    発行日: 2005/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
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