化粧品皮膚炎には, 慢性刺激性皮膚炎, アレルギー性接触皮膚炎, アレルギーで色素沈着を残す色素沈着型化粧品皮膚炎があり, この他アトピー性皮膚炎の増悪 (アトピー性接触皮膚炎), 二次的なステロイド皮膚症 (酒〓様皮膚炎), および最近ではこすると失明する恐れのある眼瞼皮膚炎などがある。1980年代から日本では感作性の強い香料をガイドラインを設けて使わない方針が出現し, 諸外国に比べてそのアレルギーは著しく減った。感作性の強い二つの色素, R-219とY-204の禁止も化粧品の安全性を改善するのに著しく役に立った。しかし国によってはこれら二つの色素を禁止していないので, 輸入に当たっては注意すべきである。化粧品皮膚炎になったら, いったん全化粧品, 石鹸を中止して, パッチテストをおこない, 明瞭なアレルギー反応がみつかったら, 以後それらが零になっている化粧品以外使わないようにすると, ふつう全治する。現在このために用いうる化粧品はアクセーヌ
®である。弱い刺激が原因になっているときは, 全治後に品数を半分にしたり, 夜の化粧を中止するなど, 皮膚への負担を減らした使用が再発防止に有効である。植物成分を多種入れると刺激性が増す可能性があり, 今後要注意である。
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