シワに代表される, 光老化に伴う美容上好ましくない変化を防ぐ上で重要なのは, いかにその初期の段階でケアするかということである。しかし, 多くの化粧品ユーザーにとって, 自分の皮膚, 特に真皮のUVダメージを知ることは, 手段がなく困難であった。そこで, 非侵襲的に真皮のUVダメージを評価する方法の検討を行った。127名の健常日本人女性 (25-28歳) の顔面皮膚を, 市販のCutometerとわれわれが開発したResiliometerで測定した。その結果, Cutometerパラメータ
Urおよび
Ur/Ufは, 加齢とともに直線的に減少していた。一方, Resiliometerパラメータτは, 加齢とともに段階的に増加していた。これまでのわれわれの検討で,
Urおよび
Ur/Ufは光老化の進行とともに増加する弾性線維の変性蓄積量と負の相関が, τはUVダメージレベルの増加に伴うコラーゲン線維の三次元構造状態の崩壊の程度と正の相関が認められている。本検討結果は, 真皮のマトリックス成分が加齢とともに変化していることを示していると考えられる。ただし, 被験者のほとんどはそれを認識していなかった。われわれは, CutometerとResiliometerを併用することで, 真皮のUVダメージを非侵襲的に評価できると考えており, それによって化粧品ユーザーに自分の真皮のUVダメージを認知させ, 光老化の初期段階でのケアを推進することになると考えている。
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