日本化粧品技術者会誌
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42 巻 , 1 号
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  • 船坂 陽子
    2008 年 42 巻 1 号 p. 2-6
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    太陽光への曝露により皮膚細胞に損傷が蓄積した結果, 光老化が生じる。光老化の症状のうち, 特にシミおよびシワに対して美容治療が求められる。ケミカルピーリング, イオン導入, レーザー光線等の光老化に対する治療については, すでに国内外から多く報告されている。しかし, どの程度の治療効果がもたらされるのかという点について, 特にその作用機序から考察した研究論文が発表され始めたのは, 1990年代後半からである。治療の作用機序の解明が進むと, 一方で光老化の病態解明につながることが期待できる。本稿では, 特にケミカルピーリングと光線治療により発生する熱の皮膚細胞に対する知見について概説する。
  • 山本 宣之, 福井 洋樹, 山岸 忠明, 中本 義章
    2008 年 42 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン (MPC) とステアリルメタクリレート (SMA) とのランダム共重合体 (PMS; Polyquaternium-61) を用いて, 自己会合現象を利用したナノ粒子形成について検討した。PMSの多価アルコール溶液を温水に希釈することにより, 平均粒径が50nm以下のPMSナノ粒子を得た。また, 界面活性剤との複合化により, 粒径がほぼ同じで表面電位だけを変化させたアニオン化およびカチオン化PMSナノ粒子を得た。人工的にダメージを加えた毛髪をカチオン化PMSナノ粒子の希釈液で処理したところ, X線光電子分析から毛髪表面に対するPMSの均一な吸着が確認された。また, 蛍光物質を内包化させたカチオン化PMSナノ粒子を用いてダメージ毛髪を処理し, 蛍光顕微鏡観察を行ったところ, PMSが毛髪表面だけでなく内部にまで浸透・吸着したことがわかった。このほか, PMS処理によるダメージ毛髪表面の再疎水化効果, キユーティクルのリフトアップ抑制効果, 表面摩擦低減効果, 帯電防止効果ならびに褪色防止効果が確認された。
  • 岩井 一郎, 桑原 智祐, 平尾 哲二
    2008 年 42 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    近年, カルボニル化と呼ばれるタンパク質の変性が角層で知られるようになったが, 肌への影響は不明だった。本研究では「角層の透明度」に焦点を当て, 角層タンパク質カルボニル化の影響とその対応法について検討した。まず粘着テープで採取した角層タンパク質のカルボニル基を蛍光標識し, 画像解析により数値化する方法を開発し, 外界の影響を受けやすい露光部 (顔面) 角層, 角層表層部で角層カルボニル化レベルが高いこと, in vitro UV照射により角層タンパク質がカルボニル化することを示した。さらに, 頬部角層カルボニル化レベルの高い女性では, 視感判定による透明感が低いことを示した。これらより, 外界の影響による角層のカルボニル化が透明感低下の一因と考えられた。実際に角層をin vitroでカルボニル化処理すると角層は不透明に白濁した。さらにアミノ酸L-リジンは角層カルボニル化を抑制し, ヒト皮膚においてもカルボニル化による透明感の低下を抑制した。これらより, 外界の悪影響による角層タンパク質のカルボニル化をL-リジンによって防ぐことで, 角層透明度を保ち, 肌の透明感を向上させることができると考えられた。
  • 高橋 元彦, 丹 美香, 木村 知史, 池野 宏
    2008 年 42 巻 1 号 p. 22-29
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    現代社会では, 多くの人が身体的, 精神的ストレスを感じている。ストレスの増加は交感神経の過剰な亢進をもたらすことから, 自律神経機能のバランスを崩しやすい状態にあると考えられる。このような状態は, 白血球分画の顆粒球の増加など生体防御機能にも影響を及ぼし, 生体においてさまざまな悪影響を生じせしめる可能性が高まることが安保らによって報告されている。一方, ニキビ病態においては, Propionibacterium acnesは炎症性誘発物質である好中球走化性因子を産生し, 毛胞に集積した好中球が活性酸素を放出し炎症反応が惹起されることなど好中球のニキビ病態への関与が報告されている。そこで, われわれはストレスによる好中球の増加あるいはリンパ球の減少によって, ニキビの発症しやすい状態あるいは悪化しやすい状態となるのではないかと考え, ニキビ患者群と健常者群における「ニキビができやすい状況」「生活習慣」「ストレス度」といったニキビとストレスとの関連性にかかわる意識調査および顆粒球の大部分を占める好中球, およびリンパ球の白血球中における割合を比較し, ストレスとニキビとの関連性について検討した。さらに, 好中球の増加は好中球由来の活性酸素の増加を招き, 血液の酸化度を上昇させるのではないかと考え検討を加え, フリーラジカル測定システムFRAS4を用いて, 酸化指標として抗酸化力 (BAP) および酸化ストレス度 (d-ROM) を測定した。意識調査からニキビ患者群は心身に負荷を感じたときに, ニキビを発症しやすいと感じていること, 生活習慣においても「不良」に分類される割合が健常者群より高いことが明らかとなった。また, 白血球分析からは, ニキビ患者群は健常者群に比べて好中球の割合が高くリンパ球が低かった。さらにニキビ患者群では, ストレスが多くないと感じている被験者に比べ, 多いと感じている被験者の方が好中球の割合が有意に高いことがわかった。血液酸化指標についても, ニキビ患者群で有意に抗酸化力が低下していることが見出された。以上の結果より, ニキビ患者はさまざまな負荷に対して多くのストレスを感じやすく, ストレスが炎症性の反応にかかわる好中球の増加を招き, 好中球由来の活性酸素を増加させることにより生体内の酸化を促進し, ニキビを悪化させている可能性が示唆された。
  • 春藤 晃人
    2008 年 42 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    小さな攪拌槽とその槽壁とのクリアランスが小さいタービンを用いて, 上部を蓋で抑えた状態で攪拌を行うと, 高速旋回薄膜流となる。これにより, 従来の高速攪拌機ではなし得なかった周速度30m/sをこえた運転が可能となり, 処理物に, より大きくかつ均一なエネルギーを伝えることができる。本実験では, 大豆油の乳化実験により, 従来の高速攪拌機との比較で, 高速旋回薄膜流の粒径コントロール能力を確認した。さらに, バッチ運転での実験結果から, 連続処理の条件を決定し連続処理においても同等の処理が可能であることを確認した。
  • 上村 慎子, 水野 くみ子, 黒見 公一, 上野 千恵, 栗田 浩幸, 小和田 和宏, 山本 政利
    2008 年 42 巻 1 号 p. 36-39
    発行日: 2008/03/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    ガスクロマトグラフィー (GC) による練り歯磨き中のジエチレングリコール (DEG) の迅速かつ簡易な分析法を開発した。練り歯磨き中のDEGは, 1, 4-ブタンジオールを内標準物質として含有するメタノール溶液で超音波処理により抽出した。メタノール抽出液を遠心, ろ過した後, InertCap 624キャピラリーカラムを用いたGCにより分析した。練り歯磨きにDEGを0.1-1.0%添加した場合の回収率は99.4-103.6%であった。練り歯磨き中のDEGの定量限界は0.05%であった。この方法は他の市販化粧品にも適用することができた。この分析法を用いて, 旅館やホテルで使用される練り歯磨き10検体について分析し, 2検体からDEGを検出した。本分析法が化粧品製造販売業者および輸入販売業者における品質管理に役立つことを期待する。
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