日本化粧品技術者会誌
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42 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 山折 哲雄
    2008 年 42 巻 4 号 p. 285-288
    発行日: 2008/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    人間はかって, 鹿や虎の皮をはいで着物にし, わが身を飾るようになった。必要に迫られたということもあっただろう。動物たちにたいする共感の気持が, それによって育くまれたということもあっただろう。鹿や虎は死んでのち, 人間のために朽ちることのない皮という天与の贈物をのこしたのである。われわれはいったい死んでのち, 何をのこすことができるのであろうか。
    そのために, まずブッダを語ることからはじめることにしよう。
  • 石窪 章, 野田 章
    2008 年 42 巻 4 号 p. 289-296
    発行日: 2008/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    化粧品基剤を塗布しているときの体表温度変化などの熱挙動は, 使用時の感触に影響を与える重要な要素の一つである。本研究では化粧品基剤塗布中の熱挙動の評価法を開発し, 化粧品構成成分および組成による熱挙動の変化を測定した。また, その熱挙動の清涼感に対する相関について調べた。その結果, 化粧品塗布時の熱挙動は, 水, エタノール, 保湿剤, 高級アルコールの配合量, 高分子の種類などの処方構成成分や組成によって変化しうることを明らかにし, また塗布開始後の体表温度の降下速度および最大降下温度で表した熱的パラメーターが清涼感の官能評価と良好な相関にあることがわかった。
  • 福原 寛央, 大内 輝彦, 鎌田 勉, 井上 和郎, 辻 さやか, 岩永 哲朗
    2008 年 42 巻 4 号 p. 297-304
    発行日: 2008/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    食品用乳化剤でもあるポリグリセリン脂肪酸エステル (PGFE) は, 肌への低刺激性や安全性といった理由から, 化粧品用原料としても近年よく利用されている。コエンザイムQ10 (CoQ10) を含む化粧品は, CoQ10が高い結晶性を有していることから安定かつ透明に化粧品へ配合するには工夫が必要であった。そこで, われわれはPGFEを用いた化粧品用のCoQ10製剤の開発を試みた。その結果, CoQ10は油剤によって溶解性が異なるだけでなく, 添加するアルコールの種類によって製剤の保存安定性が異なることがわかった。この製剤は両連続型マイクロエマルション構造を有しており, さらには製剤を水希釈するだけで粒子サイズをナノオーダーにまで小さくすることが可能となった。また, 製剤を用いて化粧料を調製して, 皮膚透過性試験や皮膚塗布試験を行ったところ, 通常の可溶化と比較してCoQ10の皮膚透過性が高い傾向にあり, 保湿性, はりといった肌状態の変化にも影響することがわかった。本研究では, 高い可溶化能と熱力学的な安定性を有している両連続型マイクロエマルション構造を有したCoQ10製剤の開発と, 化粧料へ応用したときの影響について述べる。
  • 今井 健仁, 丹羽 正直, 長谷川 拓也, 川村 秀登, 梅村 知也, 木村 勝, 中野 隆, 原口 紘〓
    2008 年 42 巻 4 号 p. 305-312
    発行日: 2008/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    ヒト毛髪のキューティクル層における酸化染毛剤 (ヘアカラー) の染毛機構について研究した。一般に酸化染毛においては, 酸化染料モノマーが毛髪内部のコルテックスへ浸透し, 酸化重合して発色するとされている。精密に作製した染色毛の横断面切片を観察した結果, 酸化染料はコルテックスだけでなくキューティクル層にも染着していることを確認した。キューティクル層には水道水などに由来するさまざまな外因性の金属が蓄積するが, 遷移金属が多いと染色性は増加する一方で, 脱色性は低下した。キューティクル層において過酸化水素による酸化反応が活発になり, 内部浸透が不利になった結果と考えられた。また, 透過型電子顕微鏡によりcuticular CMC (cell membrane complex) のβ-layerに金属が偏在していることが示唆され, キューティクル層においてはcuticular CMCのβ-layer, δ-layer界面が酸化染料の有力な反応の場として考えられた。
  • 五十嵐 啓二, 相良 圭祐, 江川 淳一郎
    2008 年 42 巻 4 号 p. 313-318
    発行日: 2008/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    含水パウダー化粧料は, 粉で多量の水をカプセル化した化粧料である。本稿では, この製剤を可能にした技術とその有用性を解析した。まず初めにナノ粉体の親水・疎水バランスを確認するため, ガス吸着で粉体の表面状態を探索した。その結果, フラクタル構造による超撥水性と残存水酸基による親水性の最適バランスを有する機能性粉体を見出した。さらに, この粉体を用いることで多量の水をカプセル化できる新しい製剤を開発した。また, このカプセルがどのような状態で構造を作っているか, またNMRを用いて水の運動性を測定することで内包水の安定性を確認した。この化粧料は, パウダー化粧料でありながら多量の水を内包することにより, 塗布時に粉が液体に変化するという驚きとみずみずしさ, 清涼感などの心地よさを付与することができる。それと同時に, 水をキャリアーとして肌上で粉体が滑らかに伸び広がるため, 均一でツヤ感のある化粧膜を形成できるという感触と機能を兼ね備えた化粧料である。
  • 井筒 ゆき子, 岡野 由利
    2008 年 42 巻 4 号 p. 319-323
    発行日: 2008/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
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