日本化粧品技術者会誌
Online ISSN : 1884-4146
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48 巻 , 3 号
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特集総説 紫外線防御化粧品を支える技術と製剤(5)
報文
  • 浅田 拓二, 井口 顕策, 上田 卓典, 北岸 宏亮, 加納 航治
    2014 年 48 巻 3 号 p. 177-183
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2016/09/20
    ジャーナル フリー
    本研究においては,種々のシクロデキストリン (CD) と整髪剤で汎用されるセットポリマーの組み合わせについて構造解析を行い,CDによる包接錯体形成により新たな整髪性能が発現するかについて検討を行った。1H NMR測定の結果,γ-CDはポリビニルピロリドン (PVP) と相互作用していることが確認され,さらに2次元1H NMRの応用測定であるDOSYおよびNOE測定を行った結果,γ-CDはPVPと錯形成していることが明らかとなった。また,分子力学法を用いた分子構造解析により,この構造体はγ-CDがPVP主鎖を包接した擬ロタキサンを形成していることが示唆された。次に種々のCDとセットポリマーの組み合わせにおいて整髪性能へ及ぼす影響について検討を行った。カールリテンション測定の結果,γ-CDとPVPおよびピロリドン骨格を有するセットポリマーの組み合わせにおいて,特異的にセット保持力が向上することが明らかとなった。さらにγ-CDがピロリドン系ポリマーのセット力 (硬さ) へ及ぼす影響について検討を行った結果,毛束の硬さには影響を及ぼさないことを確認した。つまり,γ-CDはピロリドン系ポリマーに対して毛束の柔軟性を保持したまま,セット保持力のみを向上させることが判明した。
  • 秋山 智美, 澤井 香里, 坂谷 志織, 桜井 哲人, 加賀美 真弓, 新出 ちはる, 粂井 貴行
    2014 年 48 巻 3 号 p. 184-189
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2016/09/20
    ジャーナル フリー
    化粧品に用いられる保湿剤には,グリセリンなどの多価アルコールやNMF成分などがある。また,高い保湿持続性を実現するために高分子類も用いられるが,そのような高分子類はヒアルロン酸のようにイオン性であることが多く,化粧品への配合に制限を生じる場合がある。われわれは,ヒアルロン酸に匹敵する高い保湿持続性があり,幅広い製剤に応用可能な非イオン性高分子保湿剤の開発を試み,エチレンオキシドを9モル付加したポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール(略号:PMMP-9)を開発した。PMMP-9の保湿持続性を評価したところ,PMMP-9はヒアルロン酸とほぼ同程度の水分保持能,水分蒸散抑制能を示した。さらに,デジタルフォースゲージを用いた剥離力測定および官能評価によりべたつきを評価し,Reviscometer™を用いて柔軟性を評価したところ,PMMP-9は一般的な高分子類と比較してべたつきが少なく柔軟性が高いことが示唆された。化粧品の製剤開発において高い保湿性と柔軟性,べたつきのなさの両立は難しい場合が多く,PMMP-9はこれらの問題を解決しうる有用な保湿剤であることが期待される。
  • 吉田 正人, 鈴田 和之, 上門 潤一郎, 新井 幸三
    2014 年 48 巻 3 号 p. 190-199
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2016/09/20
    ジャーナル フリー
    化粧品分野では,毛髪の損傷低減,損傷した毛髪の修復などに様々なタイプのケラチンタンパク質が応用されている。側鎖に非対称性のジスルフィド基をもつ水溶性のS-カルボキシメチルアラニルジスルフィドケラチン (CMADK) タンパク質が,羊毛繊維のチオグリコール酸ナトリウム塩による還元処理と,それに続く過酸化水素による酸化処理により合成された。SDS-PAGE法により,この新しい誘導体化タンパク質の分子量は約64 kDaおよび48 kDaであることがわかった。また,CMADKタンパク質に含まれるジスルフィド基量は4.4×10-4 mol/gであった。非対称性のジスルフィド基をもつ水溶性タンパク質と毛髪中のフリーのチオール基とのSH/SS交換反応を通して共有結合しうるタンパク質による毛髪表面の修飾が期待された。毛髪のねじり応力評価法からCMADKタンパク質で処理した毛髪の剛性率は増加した。洗髪のシミュレーションモデルを用いた繰り返し処理を行っても,毛髪の剛性が維持されることがわかった。
ノート
  • 松岡 桓準, 平 徳久, 中村 清香, 勝山 雄志, 吉岡 正人
    2014 年 48 巻 3 号 p. 200-207
    発行日: 2014/09/20
    公開日: 2016/09/20
    ジャーナル フリー
    アスコルビン酸は生体にとって不可欠な成分であり,化粧品分野においても抗酸化作用をはじめとする様々な生理機能を求めて多くの製剤に配合されている。しかし,アスコルビン酸は非常に不安定な物質で,しばしば着色・着臭をはじめ乳化系の破壊や製剤の粘度低下の原因となる。今回われわれは,アスコルビン酸とグリセリンを結合させた2種類のグリセリル化アスコルビン酸を開発した。これらはB16細胞を用いたメラニン生成抑制試験において高いメラニン生成抑制効果を示した。また,in vivoの連用試験ではグリセリン由来の保湿効果を示し,肌表面の紋理を整え,乾燥による目尻の小じわを目立たなくした。さらに,水溶液や粘性製剤において高い安定性を示すことも確認された。これらの結果よりグリセリル化アスコルビン酸は既存の誘導体と同様の生理活性を有するだけでなく,化粧品市場に求められる付加的機能を併せ持った保湿型アスコルビン酸誘導体であることが確認された。
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