加水分解シルクタンパクとアルキル基,シリコーン鎖といった異なる部位を有した両親媒性高分子であるハイブリッドポリマーをActive Interfacial Modifier(AIM),特に乳化性能に秀でたAIMをAIM-FNと名づけ,界面における性質および機能性を評価した結果,多様な界面の性質を制御することを見出した
1)。液体と液体の界面制御機能である乳化,固体と液体の界面制御機能である撥水性・耐水性機能,固体と固体の界面制御特性である製剤の感触を向上する機能について,以前本誌で報告した
2)。更なるAIM-FN の界面制御機構を解析すべく,試験を行い,新しい知見が得られたので報告する。以前までの報告では,化粧品の原料である無機粉体について報告していなかった。AIM-FNはW/O剤型での使用が基本となるため,W/O剤型で用いられることの多い,無機粉体に対する界面制御機能を検討する必要があると考え,試験を行った。固体と液体の界面制御機能である粉体分散機能,固体と固体の界面制御機能である粉体の凝集抑制機能を確認した。粉体分散機能では,表面処理が施された様々な粉体に対し,高い分散機能を示した。粉体の凝集抑制機能では,サンスクリーンの白浮きを抑制することを確認した。これは,AIM-FNの特徴的な構造によって粒子に吸着,反発力を付与し,界面を制御したからだと考えられる。今回新たにAIM-FN,ジメチコン2cs,水の混合物であるAIM-FN Dispersion(AIM-FND)についても検討を行った。従来の乳化剤や分散剤と比較し,AIM-FNDは低粘度であり,実使用の面でも価値ある存在であると期待できる。
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