日本化粧品技術者会誌
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50 巻 , 3 号
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特集総説 スキンケア製品開発における実践技術②
  • 岡本 亨
    2016 年 50 巻 3 号 p. 187-193
    発行日: 2016/09/20
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
    角層の乾燥は肌荒れを引き起こす。角層保湿はスキンケア化粧品にとって重要な機能である。角層保湿においては,角層に水を保持することと,皮膚からの水の揮散を防ぐことが重要である。スキンケア基剤の物理化学的な性質はこれらと密接に関係しており,適切な基剤設計を行うことで保湿作用を高めることができる。保湿剤は角層保湿において重要な役割をもっている。保湿剤は角層に貯留されることで保湿機能が高まることから,角層への浸透性を高めるためには,保湿剤の角層への分配を高める成分を水相に配合する手法が有効である。また,αゲル基剤は少量の適用でも優れた角層保湿効果を示す優れた基剤である。炭化水素油分のような疎水的な成分で肌を閉塞すると,皮膚からの水分蒸散が妨げられて肌表面に水分を保持することができる。閉塞効果は分子量の高い油分で高まるが,基剤を肌上に均一に展開することが重要である。さらに,保湿剤の浸透と水分のオクルージョン効果を両立した基剤としてαゲル基剤の超微細エマルションについて紹介する。これらのコンベンショナルな手法に加えて,角層細胞間脂質の修復に関する新たな知見について議論する。
原著
  • 坂 貞徳, 佐藤 眞直, 太田 昇, 李 雷, 中田 悟
    2016 年 50 巻 3 号 p. 194-200
    発行日: 2016/09/20
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
    デキストリン脂肪酸エステルはエマルションの安定化剤やオルガノゲルのゲル化剤として使われている。しかしながら,デキストリン脂肪酸エステルのゲル形成機構についてはあまり知られていない。本研究は,レオロジー測定,DSC測定,TEM観察ならびにシンクロトロン放射光を使った小角散乱実験を行い,オルガノゲル特性について検討した。ここでは流動パラフィンにパルミチン酸デキストリン(DP)を1~30重量%濃度で検討した。DPは5重量%でゲル化した。レオロジー測定の結果から,Cox-Merzの経験則に従わず,一般的なポリマー溶液のようなネットワーク構造を示さないことが示唆された。TEMによる観察から1 μm以下のコロイド粒子であることがわかった。次に,小角散乱実験から,ゾル,ゲル状態に関係なくラメラ周期が存在することがわかった。そこで,せん断をかけながら小角散乱同時測定をした結果,100 s-1の条件下で極小角領域では散乱パターンに子午線方向に異方性がみられたが,小角領域ではラメラ周期の散乱パターンに変化はみられなかった。これらの結果から,オルガノゲルはラメラ周期を有するシート構造であることがわかった。
  • —製剤の外観が効果の期待に与える影響—
    西川 正一郎, 大畑 美穂, 坂﨑 ゆかり
    2016 年 50 巻 3 号 p. 201-208
    発行日: 2016/09/20
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
    メークアップ化粧品やパッケージでは,消費者の期待を高めるため,デザインや色,成型方法等で様々な工夫がなされているが,スキンケア化粧品ではそのような試みが行われていない。「自分のなりたい肌になれる」というイメージを消費者にもたせることを狙って,スキンケア化粧品に魅力的な外観を付与することを試みた。はじめに,「製剤の外観」と「効果への期待」の関係を調査した。結果,異なる外観を有するローションに対し,消費者は異なる効果を期待することが確認された。さらに既存のローションの外観では,肌の「ラディアンス向上」を想起させることができないということを明らかにした。界面活性剤が作るラメラ液晶の光干渉作用を利用することで,オーロラのように輝く外観をローションに付与し,そのような外観を有する製剤が,消費者の「ラディアンス向上効果に対する期待」を高めることを明らかにした。「製剤の外観」と「効果への期待」を合わせることで,適切な使用法にもつながり,肌改善効果が促進される可能性があることをわれわれは見出した。
  • 稲益 悟志, 森脇 太郎, 池本 夕佳
    2016 年 50 巻 3 号 p. 209-217
    発行日: 2016/09/20
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
    ヘアトリートメント剤およびヘアカラーリング剤においては,機能を効果的に発現するために,毛髪内部への製剤物質の浸透性をコントロールすることが重要な技術となっている。効率的に製剤開発を行うためには対象となる毛髪内部の情報を正確に掴むこと,および,毛髪内部への浸透性を直接的にかつ簡便に解析する測定方法の確立が必要となってくる。これまでにわれわれは顕微IRを使用して毛髪横断面の化学組成分布(アミドおよびCH結合)を評価し,製剤物質の局在状況の確認を報告してきた。本研究においてわれわれは,SPring-8 BL43IR光学系装置の変更に伴い,既報よりも詳細な毛髪横断面の組成情報を得ることが可能となった。その結果,アミド結合に対するイメージマッピングにおいて毛髪の輪郭が従来よりもクリアに得られ,ダメージによる内部タンパク質の組成変化が示された。今後については本解析手法の適用可能な対象毛髪の更なる確認とともに,測定時間短縮化を図っていくことで,本手法の普遍的な活用を目指していきたい。
短報
  • 林 ちひろ, 水谷 陽一, 小林 さやか, 小山 匡子, 山口 裕章
    2016 年 50 巻 3 号 p. 218-221
    発行日: 2016/09/20
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
    本研究では,クレンジングオイルの使用感を,物性測定装置を用いて評価する方法を開発した。人がクレンジングを使用する際,試料間同士の識別に重要な感覚を抽出するため,複数のクレンジングについて官能評価を行い統計解析した。その結果,「伸ばしやすさ」および「洗浄後のべたつき」を重視していることが示唆されたため,この使用感を数値化する評価手法を検討した。「伸ばしやすさ」は,動的粘弾性測定装置を用い,人がクレンジングを皮膚に塗布する動作を模倣し,クレンジングを塗布した人工皮膚上で球状の冶具を回転させる際にかかるトルク値を評価した。また,「洗浄後のべたつき」は,クリープメーターの引張り試験により,クレンジング塗布後にすすぎ処理を行った試料台からプランジャーを引き剥がす際に要するエネルギー値を評価した。いずれの評価手法も官能との相関が高く,機器測定によりクレンジングの使用感を数値化することが可能となった。
  • 五十嵐 敏夫, 広瀬 統, 八代 洋一, 中田 悟
    2016 年 50 巻 3 号 p. 222-226
    発行日: 2016/09/20
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
    目袋は目もとに陰影を生じ,その人に老けた印象を与えることから,美容的に好ましくない。目もとは照明条件の影響を受けやすく,写真や画像を用いた二次元的な手法では高精度な評価が難しい。そこで,目もとの印象に影響を及ぼす形状特徴を解明することを目的とし,三次元形状データにおける曲面の局所的な形状を表す三次元曲率を用い,目もと印象との関連性を検討したところ,目袋と瞼頬溝において強い関連性を認めた。したがって,三次元曲率は観察方向に不変であることから,目袋と瞼頬溝の三次元曲率を用いた評価法は客観性が高く,高精度に目もと印象を定量化することが可能であることが明らかとなった。
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