日本化粧品技術者会誌
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56 巻, 3 号
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原著
  • Naoya Fuse, Masato Isobe, Masashi Matsui, Yukako Matsue
    2022 年 56 巻 3 号 p. 239-246
    発行日: 2022/09/20
    公開日: 2022/09/20
    ジャーナル 認証あり

    This study focused on black and white hairs in individuals over the age of 40 and analyzed qualitative changes of age-related hair. Water-related irregular shapes increased with aging for both high-and low-humidity conditions. Careful observance of the difference between black and white hair revealed that the water-related irregular shape of white hair increased. The result of real-time examinations of water behavior by means of Fourier-transform infrared (FT-IR) microscopy revealed an increase of water penetration and decrease of water holding capacity in white hair. The amount of carbonylated proteins, which have been known an indicator of aging, was significantly greater in white hair than black hair over the age of 50. These results suggested that the carbonylation of interior proteins changed water behavior and was the cause of hair shape. Furthermore, it was considered until now that carbonylated proteins could not return to their previous form, but reductive amination treatments using 5-ethyl-2-methylpyridine borane (PEMB) were revealed to reduce the amount of carbonylated proteins, improving water behavior and hair shape. From the above, further quality-of-life (QOL) improvements can be brought about by not only applying color correction to white hair with conventional coloring, but also combining this with hair shape correction based on reductive amination.

  • 坂本 考司, 原水 聡史, 征矢 智美, 中野 詩織, 松本 雅之, 中村 純二
    2022 年 56 巻 3 号 p. 247-252
    発行日: 2022/09/20
    公開日: 2022/09/20
    ジャーナル 認証あり

    化粧品の触覚情報は感性・情緒的価値をもたらす要素の1つである。これまでに,両手で顔の肌に穏やかに触れることで快感情を喚起するハンドプレス刺激の継続により,「キメの整い感」等の肌の質感が向上することが報告されているが,詳細なメカニズムは明らかではない。本研究では健常日本人女性を対象に,主に脳で合成されるホルモンのオキシトシンに着目し,検討を行った。その結果,快感情を喚起する触覚刺激の1つである前腕へのチークブラシ刺激の継続で,定常状態(ベースライン)のオキシトシンが上昇し,さらに試験参加者の88%が肌状態の変化を実感していた。そこでオキシトシンと顔の肌状態との関連性を解析した結果,オキシトシンと肌の質感(キメの整い感,色むらのなさ,つや)のスコア値が正相関を示した。そしてハンドプレスによる快感情喚起度合いとオキシトシンとの関連性を解析した結果,両者で正相関が認められた。したがって,ハンドプレスのような快感情を喚起するスキンケア動作の継続で,定常状態(ベースライン)のオキシトシンの上昇を介して,肌の質感が向上する可能性が示された。

  • Akio Kuzuhara
    2022 年 56 巻 3 号 p. 253-261
    発行日: 2022/09/20
    公開日: 2022/09/20
    ジャーナル 認証あり

    In order to investigate in detail the internal structure changes in virgin black human hair keratin fibers resulting from bleaching treatments, the structure of cross-sections at various depths of black human hair, which had been impossible to analyze due to high melanin granule content, was directly analyzed using Raman spectroscopy. The gauche-gauche-gauche (GGG) content of the -SS- groups existing from the cuticle region to the center of cortex region of the virgin black human hair remarkably decreased, while the gauche-gauche-trans (GGT) and trans- gauche-trans (TGT) contents were not changed by performing the excessive bleaching treatment. In particular, it was found that not only the β-sheet and/or random coil content, but also the α-helix content existing throughout the cortex region of virgin black human hair decreased. In addition, the transmission electron microscope observation showed that the proteins in the cell membrane complex, the cuticle and cortex of the virgin black human hair were remarkably eluted by performing the excessive bleaching treatment. From these experiments, it can be concluded that the -SS- groups, which have a GGG conformation, decomposed and finally converted to cysteic acid, and the α-helix structure of some of the proteins existing in the keratin changed to the random coil structure, or was eluted from the cortex region, thereby leading to the change to the rough structure of the virgin black human hair after the excessive bleaching treatment.

  • ─新規スポンジ構造会合体による水系高洗浄力メイク落とし─
    渡辺 啓, 渡邊 由樹, 張 陽, 増田 収希, 松本 千景, 島 孝明, 齋藤 直輝
    2022 年 56 巻 3 号 p. 262-270
    発行日: 2022/09/20
    公開日: 2022/09/20
    ジャーナル 認証あり

    水はもっともサステナブルかつナチュラルな化粧品原料である。化粧品の市場においては近年,環境意識の高まりによりケミカルなイメージの物質を避ける消費者が増えており,オイルフリーかつ水ベースのクレンジングローションが伸長している。水を想起させる透明外観・低粘度・さっぱりした使用性が好まれる一方で,親水性界面活性剤のミセル水溶液を基剤としているため,油性の汚れであるメイクとのなじみには限界があり,洗浄力が課題であった。この課題を解決すべく,われわれはスポンジ相と呼ばれる会合体溶液に着目した。このスポンジ相においては界面活性剤分子が2分子膜を形成し,膜が3次元の網目状にネットワークを構成している。得られたスポンジ相は界面張力がきわめて低く,疎水性表面において興味深い濡れ広がりの挙動を示し,この作用により高いメイク落とし効果を有することが明らかになった。この結果,水ベースらしい性状や使用性を維持しつつ高い洗浄力を有する,新規クレンジングローション基剤の実用化が初めて可能となった。

  • 吉田 祥麻, 東 竜太, 外尾 恵美
    2022 年 56 巻 3 号 p. 271-280
    発行日: 2022/09/20
    公開日: 2022/09/20
    ジャーナル 認証あり

    高化粧持ち口紅に用いられる技術として,皮膜形成剤により唇を固い皮膜で覆うことで持続性を高める技術が広く用いられてきた。しかし,こすれにより化粧崩れが起きやすく,乾燥感が生じやすいといった課題があった。本研究では,マスクなどへの色移りを防ぐ硬さを有しながらも,唇の動きに追従する柔軟性をもち乾燥感を低減した口紅用シリコーン皮膜剤を開発した。この新規シリコーン皮膜剤の性能を評価するために,柔軟性,硬さ,硬化過程を従来のシリコーン皮膜剤と比較した。開発品の分子量や分子構造が物性に与える影響も評価し,分子量と架橋密度が機械特性の向上に重要であることが示された。従来の皮膜剤の組み合わせでは硬さと柔軟性はトレードオフの関係にあり両立ができなかったが,新たに架橋構造,分子量を調整した開発品は,硬さと柔軟性の両立を達成した。また,開発品の有用性を確認するために,製剤を調製し,耐色移り試験,色保持試験および12時間の長時間持続性試験を実施した。その結果,きわめて高い耐色移り性,色保持性を示すことが明らかになった。また,乾燥感評価,収縮性試験の結果,従来品と比較して膜の収縮が少なく有意に乾燥感が低減していた。

  • 浅野 ちひろ, 高橋 唯仁, 春藤 晃人, 伊藤 新次, 米澤 徹
    2022 年 56 巻 3 号 p. 281-289
    発行日: 2022/09/20
    公開日: 2022/09/20
    ジャーナル 認証あり

    ナノメートル領域の直径をもつ酸化チタン(TiO2)や酸化亜鉛(ZnO)の無機微粒子は,透明性や紫外線(UV)防御などの優れた光学特性をもつため,サンケア製品を中心として化粧品業界にも幅広く活用されている。しかしながら,ナノレベルの超微粒子はその大きな表面エネルギーのために製剤中で二次凝集を形成し,製品の機能を低下させる要因となっている。そこで本研究では,それらの凝集状態を解消するべく最適な製造プロセスの検討を試みた。新しいプロセスとして薄膜旋回型高速攪拌機をTiO2微粒子の分散に利用し,サンケア製品に関わる各種特性にどのような影響を及ぼすかを検討した。その結果,微粒子酸化チタンの分散において周速の増加に伴って単分散を示すシャープな粒度分布となると同時に,分光光度計で測定した紫外線透過率との相関が認められた。さらに,W/O,O/Wの2種類のクリーム状サンケア製剤を調製し,紫外線防御指数(SPF)をSPFアナライザーで測定したところ,散乱剤の凝集が効果的に解砕されていることとSPF値の増加に相関がみられ,特に周速30m/s以上の速度で調製したものでは,SPF値の顕著な増加が確認され,紫外線吸収剤を含まないノンケミカル処方,かつ5wt%という低い散乱剤濃度にもかかわらず,SPF30に近い値を示した。これらの結果は,サンケア製品の機能性の向上に分散機の条件が寄与することを意味し,機能性製品における攪拌プロセスの重要性が示されたので,ここに報告する。

短報
  • 原矢 奈々, 山戸 直弥, 押村 英子
    2022 年 56 巻 3 号 p. 290-295
    発行日: 2022/09/20
    公開日: 2022/09/20
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,香料として汎用されるd-リモネンを含有するシャンプーを適用した毛髪への香料残留について,アシルグルタミン酸塩(以下,CG)をはじめとする種々のアニオン性界面活性剤と,カチオン性ポリマーとして代表的なカチオン化セルロース(以下,PQ10)で形成される複合体コアソルベート形成能の観点から調査した。その結果,シャンプー処方の希釈液中で確認された複数種の複合体コアセルベートが毛髪への香料残留を促進していることを明らかにした。特に,CGとPQ10を含有するシャンプーは,アルキルエーテル硫酸塩やアシルサルコシン塩等のアニオン性界面活性剤とPQ10を用いたシャンプーよりも顕著な香料残留効果を示し,濁度で示される複合体コアソルベート量も多いことが判明した。さらに,CGとPQ10を含有するシャンプーにおいて,処方中の塩や脂肪酸の濃度,pHによって毛髪への香料残留量が制御されることを明らかにした。

  • 愛水 哲史, 羽田 容介, 岩野 英生, 清水 浩美, 大橋 正孝, 都築 正男, 澤木 茂豊
    2022 年 56 巻 3 号 p. 296-302
    発行日: 2022/09/20
    公開日: 2022/09/20
    ジャーナル 認証あり

    見かけ年齢に大きく影響するシワ形成の主な原因は,真皮細胞外マトリックス(ECM)の減少である。通常,ECMは合成と分解が常に起こりバランスが保たれているが,加齢により分解優位になるとECM量が減少しシワが形成される。また紫外線(UV)曝露によるECM分解が促進されるカスケードがある。UVにより皮膚に炎症が生じると炎症部位ではケモカインと呼ばれるサイトカインが分泌される。その一種のIL-8は好中球の遊走を促進,さらに炎症部位に浸潤した好中球を活性化する。活性化された好中球は好中球エラスターゼを過剰に分泌,これによりECMの分解が進みシワ形成が進む。われわれは,好中球様細胞の遊走活性評価法を構築,ササユリの花由来の酵母培養物抽出物に好中球様細胞遊走活性抑制作用,およびECM合成促進作用,さらにin vivoでのシワの変化を確認し,抗シワにおけるIL-8による好中球遊走の制御の重要性を見出した。

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