本稿はシステマティックレビューとメタアナリシスによって、反復スプリント能力(RSA)のアウトプット(合計スプリントタイム:TSTと疲労スコア)と、有酸素性能力指標(最大酸素消費量:VO2max、シャトルラン持久力テストの走行距離:SRTdistance、無酸素性の乳酸性作業閾値における速度:ALTvelocity)の相関関係の推定値を提供することを目的とする。メタアナリシスに含む文献の特定には、MEDLINE(PubMedを介して)とWeb of Scienceのデータベースを利用した。各研究からRSAアウトプットと有酸素性能力指標の相関係数を抽出して、プールされた相関を示した。選択基準を満たす研究は45件、含まれる被験者数は累計1,488名であった。メタアナリシスの結果、TSTとVO2max(プールされたr=0.444、p<0.001)、TSTとSRTdistance(プールされたr=0.465、p<0.001)、TSTとALTvelocity(プールされたr=0.527、p<0.001)、RSA疲労スコアとVO2max(プールされたr=0.449、p<0.001)、RSA疲労スコアとALTvelocity(プールされたr=0.460、p<0.001)の間には、中程度の正の相関関係が見出された。さらに、RSA疲労スコアとSRTdistance(プールされたr=0.305、p=0.029)の間には低い正の相関関係が見出された。本稿は、RSAアウトプットと実用的な有酸素性能力指標のプールされた相関を示した。一般的には、両者の間に強い関係が存在すると考えられているが、本稿のメタアナリシスによると相関関係は低~中程度であった。
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