二次元反射法地震探査は,調査の目的や対象深度を問わず,ボーリング孔間の地質および地質構造を補間する事を目的として実施されてきた。しかし,二次元反射法地震探査によって得られる情報は,測線直下の地質情報に限られ,面的な連続性に関しては推定の域を出ないのが実情である。
三次元反射法地震探査は,この様な欠点を補うために実施されるもので,石油,天然ガスや石炭等の資源探査の分野では,三次元反射法地震探査が通常の探査方法として実施されている(仙石, 1990; NEDO, 1990;佐伯ほか, 2006)。しかし,三次元反射法地震探査を構造物を対象とした地質構造の解析に適用した例は国内では皆無と考えられる。
その理由として; ① 多チャンネルのデータ収録システムが必要 ② 費用が割高の感覚がある ③ 三次元データ処理ソフトが必要 などが考えられる。
今回の調査では,深度100m以浅の詳細な地質構造の解析を目的とするとともに,地質の不連続構造の存在の判定を行うことが容易な100m以深も対象に調査計画を立案した。調査対象深度は調査区域の広さ,地質データおよび経済性等を考慮して,探査深度は約80m~250m程度とした。本調査実施後に実施された調査坑道での地質調査において,三次元反射法地震探査で推定された落差数mの不連続面の延長部において小断層を確認したことから,本調査の有効性が示された。本報告では,主として三次元反射法地震探査のデータ取得と解析・解釈について示す。
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