地震発生時に詳細な震度分布を即時的に把握することは,災害発生時の初動計画において重要なことである。また,行政による公助だけでなく,地域住民自身による自助,共助を考えるうえで,市区町村内の詳細な震度分布は重要な情報となるであろう。
兵庫県南部地震以降,日本全国に数多くの地震観測点が設置され,地震発生直後に各地の震度が速報されるようになった。これらの地震計は日本全国,もしくは,都道府県内の震度分布を把握するのに十分な密度で設置されている。
しかし,地域住民の視点で考えると,すなわち,市区町村内のより詳細な震度分布を把握するには十分な地震観測点密度であるとはいえない。横浜市のような特別な場合を除き,多くの市区町村に設置されている地震観測点は1地点から数点であろう。
そこで,本論では,ニューラルネットワークによる情報処理を応用し,2地点の地震観測点で観測された計測震度から面的な震度分布を即時的に推定する方法を提案した。提案手法を高密度地震観測網が設置されている横浜市において適用した結果,良好な精度で震度分布を推定することができた。また,学習に用いる地震数や観測点数が推定精度に与える影響についても検討した。
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