物理探査
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63 巻, 3 号
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論文
  • 鈴木 晴彦, 山中 浩明
    2010 年 63 巻 3 号 p. 215-227
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
     強震観測による地震データを用いてS波速度構造を推定することを目的として,地震観測記録のS波主要動,レシーバー関数,コーダー部分の水平・上下動スペクトル比のデータに表面波の位相速度のデータを加えた同時逆解析手法を開発した。まず,数値実験により,本手法の妥当性・適用範囲について検討した。位相速度のデータを加えることにより,モデルの推定精度を向上させることを確認した。また,多くの単独逆解析で拘束条件を与えなければ推定が難しい,地震基盤深度およびS波速度についても,同時逆解析により精度良く推定することが可能であることがわかった。地震観測記録のデータに位相速度のデータをくわえることは有効であり,比較的短周期のみの位相速度のデータを逆解析時に考慮することによって表層部分の層厚とS波速度間のトレードオフの問題を回避することが出来,モデルの推定精度を効率よく向上させることが出来た。
  • 上田 匠, 光畑 裕司, 内田 利弘
    2010 年 63 巻 3 号 p. 229-238
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
     近年,人工電磁/電気信号源を利用した海洋探査手法への注目が高まっている。そのような手法の一つが,海底電気探査(直流比抵抗)法であり,海底電気探査法は,例えば海底断層,地下水,海底熱水鉱床等,沿岸および深海領域での海底下浅部を対象とする探査において中心となり得る手法である。本研究では,そのような海底電気探査法の層状構造における任意配置電極における電位の数値計算に注目した。任意配置電極における層状構造応答の計算は,海底電気探査法の順解析による予測応答の評価や1次元解析に必要不可欠である。また,効率的な測定や機器仕様を決定するため,そして2次元,3次元フォワード計算への組み込みという点でも重要である。
     本稿では,水平多層構造の任意電極配置における新しい電位計算式に基づいてリニアフィルタ法による数値計算プログラムを作成し,既存の電位計算式に基づくプログラムによる計算結果と比較し精度を検証した。また,種々の海底電気探査法についてもシミュレーションを行い,海底地盤の応答をより正確に把握するための新たな見掛比抵抗の算出も試みた。その結果,開発したプログラムが1次元電位応答を高精度に計算可能なことに加えて,様々な電極配置や電極ケーブルが傾斜している場合を想定した計算など,海底電気探査法の数値計算プログラムとして幅広く利用可能なことを示した。
技術報告
  • 鈴木 誠, 松島 潤, 加藤 俶史, 六川 修一
    2010 年 63 巻 3 号 p. 239-249
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
     本技術報告は,塩水の冷却過程で固液共存系を作製する装置の導入とその運用から得られた技術的知見,ならびに,超音波を用いた低温環境の固液共存系における伝播波形の計測とその評価結果について述べる。具体的には, (1)冷却装置の違いによる固液共存系の生成過程の比較評価,(2)圧電素子の低温下及び氷生成に伴う封圧下での性能評価,(3)観測波形が定常状態に達するまでの安定性評価,を行った。低温域で生成される固液共存系における波動伝播現象を計測する室内実験例は少なく,再現性のある高信頼性のデータを取得するための実験システム構築に関する技術的知見を積み上げていくことは,とりわけ波形情報を利用する弾性波減衰特性評価のための基礎資料として有益になり得る。
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