物理探査
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64 巻, 2 号
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論文
  • 池田 達紀, 松岡 俊文, 辻 健, 林 宏一
    2011 年 64 巻 2 号 p. 127-138
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
     従来, SPAC法による微動データ解析は, 基本モードが卓越すると仮定して行われてきた。しかしながら, 実際のデータでは高次モードが卓越する場合も多くみられる。本稿では, 微動データに対して, SPAC法における高次モードを考慮した解析方法について検討した。高次モードの扱い方としては, 位相速度の異なる複数の波に対するSPAC係数から計算される見掛け位相速度を利用した手法が既に提案されている。しかし, この手法は一つの受振器間隔で取得された微動データに対するものであり, 複数の受振器間隔を利用した解析に対応したものではない。そこで, 複数の受振器間隔の影響を考慮した二つの手法を本論文で検討する。一つは, 理論SPAC係数とベッセル関数の二乗誤差を計算し, さらに受振器間隔で和をとった値が最小となる位相速度を理論位相速度とする手法である。もう一つは, 位相速度を推定することなくSPAC係数でデータと理論解を比較する手法である。シミュレーションデータを用いた検討の結果, 本論文で提案した二つの手法は十分実用性があることがわかった。さらにフィールドデータに対して適用したところ, 同様の結果が得られた。以上の考察から, 今回提案した解析方法により, 複数の受振器間隔で取得されたデータに対しても, SPAC法を用いて高次モードを考慮したインバージョンが可能であると考えられる。
  • 岡野 豊, 三ケ田 均, 尾西 恭亮, 後藤 忠徳
    2011 年 64 巻 2 号 p. 139-152
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
     本研究では,観測される弾性波を平面波分解することにより3成分3次元反射法地震探査データからP, SV, SH波各々による信号を分離・抽出する手法を開発した。数値シミュレーションにより得られた合成データに本手法を適用した結果,元となる3成分記録からP, SV, SH波各々による信号が分離・抽出されることが確認された。さらに,実際の3成分3次元陸上反射法地震探査データに本手法を適用した結果,P波による信号のS/N比が向上し,P-SV変換波による信号を抽出することができた。数値シミュレーションデータ及び実記録に対する本手法の適用結果から,本手法が有用かつ実用的であると考えられる。
技術報告
  • 根木 健之, 梅田 浩司, 松尾 公一, 浅森 浩一, 横井 浩一, 大原 英史
    2011 年 64 巻 2 号 p. 153-165
    発行日: 2011年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
     人工ノイズが多く含まれる地域において高品質な広帯域MT法データを取得するためには,長期間に亘る観測が必要となる。また,人工ノイズは電場と磁場の間に何らかの相関関係を有している場合が多く,そのようなノイズ(以下,コヒーレントノイズ)は,信号との区別が付き難いため,調査技術者の目視による編集作業が不可欠である。このため,長期間に亘る観測データからコヒーレントノイズが卓越したデータを効率的且つ効果的に排除することは難しい。本稿では,根木ほか (2010) にて提案したMT法スペクトルデータの重み付けスタッキング方法について,その実データに対する適用性を検証するため,コヒーレント且つアンプリチュードが大きい人工ノイズを含むデータとして,能登半島において観測されたデータを用いた。本地域においては,日中から夜間にかけて直流電車の漏洩電流によるコヒーレントノイズが卓越しているが,深夜から夜明け前にかけての時間帯は比較的静穏であるため,信号スペクトルによる真の測定値を推定しやすい。これらの測点において取得されたデータに対し,本重み付けスタッキング方法を適用した結果,コヒーレントノイズが卓越している時間帯のデータの影響を低減することができた。これにより,本方法を用いることで従来の調査技術者による編集作業とは異なり,調査技術者が極力介在することなく短時間で編集作業を行えることが確認できた。
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