2011年3月11日東北地方太平洋沖地震(M
w9.0)に際して液状化による被害を受けた, 小貝川西岸に位置する茨城県常総市吉野総合公園(36.0746N, 140.0000E)において, 空間自己相関法(SPAC)と高精度表面波探査(MASW)による地盤調査を実施した。推定されたV
s構造は, 地表より深さ約7mまでは, ほぼ100m/s以下, そこから工学的基盤上面まで200m/s以下, 地表より約27mで工学的基盤に達すると推定された。周囲のボーリング資料のN値から換算したV
s 構造と比べて, 工学的基盤の深さ及び地表より7m以深のV
s値は, 大略的には調和的であった。ただし, 地表より深さ7m以浅では, 周囲のボーリング資料のN値から換算したV
s構造と比べて小さな値が推定された。液状化前の調査がなく, また調査地そのものにはボーリング資料がないので, 液状化が原因で地盤が緩んだかどうかを推定するのは困難であるが, 調査を実施した時点でかなり軟弱な地盤であり, 同様の強震動に襲われたならば, 再び液状化する可能性が考えられる。また, 固有周波数2Hz の地震計を使った中心なし円形アレイ法(CCA)を比較の為に実施し, 5.0Hz~9.7HzでMASWの探査結果とほぼ一致する分散曲線が推定され, このような比較的安価な地震計を使った同法の浅部探査能力が実証された。
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