オープンスペースの少ない都市域における建設分野での地盤探査では,小口径アレイを使う微動探査法であるCenterless Circular Array法は,SPAC法等に比べて有利とされる。その普及の為には,比較的廉価な動コイル型地震計を使って実施できることが望ましい。しかし,小口径アレイを使う同法では,アレイを構成する地震計間の地動の位相差を正確に推定することが不可欠である。
本報では,CCA法に対して,長波長近似の改良式とハドルテスト記録を使った計器特性等の補正法を提案し,固有周波数2Hzの動コイル型地震計を使って得られた実微動記録を使ってその効果を検証した事例を紹介する。検証の結果,これらの補正により,分散曲線の推定を改良する効果が見られた。しかし,その効果は限定的で,このような短周期地震計を使う場合に,解析可能な周波数帯が劇的に低周波数側へ(例えば固有周波数の1/10)延びることは困難であると思われる。それは,補正後に解析可能な周波数帯の下限を決めているのは,計測系の電気ノイズであると推測されるからである。
一方,本報で報告する実験地と同様の地盤限定の話として,探査に使う周波数帯を,例えば3.0Hz以上,探査対象を工学的基盤までの浅部地盤と割り切れば,本報での事例のように比較的廉価な動コイル型地震計でのCCA法が,カーポート程度のスペースで実施可能であると思われる。今後,より低速度,或は高速度の地盤での実証的な検討の蓄積が望まれる。
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