尚絅大学研究紀要 A.人文・社会科学編
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2017 巻, 49 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 田口 誠 一
    2017 年 2017 巻 49 号 p. 1-14
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/13
    ジャーナル フリー
    中学校英語教科書では日常的な話題を扱った会話教材が多く掲載される傾向にある。現在の日本の英語教育の中では,コミュニケーション能力が重視されるにつれて文学教材が徐々に排除されてきたとしばしば言われている。しかしながら,リーディング教材としてオー・ヘンリーの短編小説やアーノルド・ローベルの絵本などの文学教材が教科書に掲載されている。この論文では中学校英語教科書のリーディング教材を考察し,特に文学教材の問題点を明らかにする。
  • 所 吉彦
    2017 年 2017 巻 49 号 p. 15-27
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/13
    ジャーナル フリー
    本研究は,社会人基礎力や学士力といった能力が繰り返し提唱される中で,企業におけるコンピテンシーの位置づけを調査した。学生のコンピテンシーの向上を目的,アクティブ・ラーニングを手段として教育実践し,pre-post データを収集し,検討した。その結果,2ヵ月といった短期間でも対自己力に効果があることが明らかになった。また, 授業設計に涵養性を追加した場合,対人力でも効果が確認され,一定の基準値を上回る可能性があることが示唆された。
  • 畠山 真一
    2017 年 2017 巻 49 号 p. 29-42
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/13
    ジャーナル フリー
    本論文は,現代日本語の存在動詞イルの成立史とシテイル形式の文法化が緊密に関連していることを明らかにする。現代日本語のイルは,典型的な状態動詞の一つであるが,イルの語源を形成するヰルは,状態動詞ではなくむしろ起立状態から着座状態への態勢変化を意味する主体変化動詞であったと考えられており,イルは,主体変化動詞ヰルではなく,むしろヰルの主体変化結果状態を表現するヰタリから発達してきたと推定されている(金水,2006)。本論文で検討した歴史的なデータは,ヰタリから存在動詞イルへと至る意味変化とテイルの文法化が相互に関連していることを示している。すなわち,近世におけるアスペクト形式としてのシテイル形の確立には,存在動詞イルの成立が反映されていると考えられる。このような議論にもとづき,本論文は,シテイル形が,イルの意味的漂白化(semantic bleaching)に加え,テ形節とイルを述語とする主節からなる複文構造(biclausal structure)が単文化することによって確立すると主張する。
  • ソーシャルワークの視点を活用したチームアプローチの事例より
    川﨑 孝明, 川口 惠子
    2017 年 2017 巻 49 号 p. 43-57
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/13
    ジャーナル フリー
    複合的な生活課題を抱えた生活困窮者に対する家計管理支援では,通常の知識やスキルでは対応できないことが多い。当事者の問題意識が低いこと,他者との関係性をうまく築くことができないなど,本人の特性を踏まえる必要がある。そのため,ソーシャルワークの視点を用いたチームアプローチによる支援方法が問題解決には効果的である。
  • 自発性の概念を中心に
    曽田 裕司
    2017 年 2017 巻 49 号 p. 59-69
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/13
    ジャーナル フリー
    倉橋惣三は,大正から昭和前期にかけて日本の幼児教育思想を牽引した人物として知られている。彼の思想は,幼児に内在する自発性の尊重と,それを引き出す教師の導きによって特徴づけられる。本稿は,彼の幼児教育思想の中でも,幼児の音楽表現における自発性を彼がどのように捉えていたのかについて明らかにしようとするものである。倉橋は,幼児の音楽表現において,作品として成立している音楽を表現する場合と,幼児が音を用いて独自に表現する場合のどちらにも,幼児自身が自発性を発揮することが重要であると考えていた。また彼は,幼児が音楽表現の経験を重ねるうちに,技能面で向上させたいという欲求を持つ可能性も,自発性の発現として視野に入れていた。このように,彼における幼児の音楽表現観は,自発性概念を軸に統合されたあり方を示している。
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