昭和50年および51年の大阪市保健栄養学級修了者(30代~50代の女性) についての栄養摂取状況調査の資料を用いて, 栄養バランス価 (NB価) の分布, 栄養素充足率・食品群摂取量に関する因子分析および得られた因子軸とNB価の関係について検討し, 次のような結果を得た。
(1) NB価の分布について
栄養充足率の平均(
x)については両年間に差は認められないが, その変動係数(CV)においては大差が認められた。高令層において
xの小さい群に属する者が多くなる傾向があったが, この傾向は高令層の中の肥満群に負うところが大きい。
(2) 10栄養素充足率に関する因子系について
昭和50年は3因子系, 昭和51年は4因子系をバリマックス回転して得られた因子系について検討を行ない, 両年に共通した因子軸として, エネルギー充足に関する因子, ビタミン充足に関する因子, および蛋白充足に関する因子の3因子を認めた。これらの因子とNB価との関係では, 昭和50年のビタミン因子軸がCV価に対して強い効果を与えていること, およびエネルギー因子軸は両年を通じてNB価への寄与が比較的小さいことを認めた。
(3) 15食品群摂取量に関する因子系について
両年とも3因子系をバリマックス回転して得た因子系について比較検討を行ない, 両年の因子構造には調査対象の食習慣に根ざすと思われる安定した食品摂取のパターンがあることを認めた。それらは, 肉食に由来する因子, 和食・洋食の食習慣に由来する因子, および栄養のバランスに深く係わっている因子であった。この栄養バランスに関係する因子軸は, 昭和50年のものは菓子, 果物, 緑黄色野菜, 乳・乳製品と正の相関をもち, 昭和51年では豆, 果物, 卵, 乳・乳製品と正の相関をもっていて, それらはいずれの年においても栄養バランスの指標の一つと考えられるCV値の改善に大きい効果をもつ因子であることが認められた。
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