和歌山県下の1農園において, 農園中の80本のみかんの木から各1個のみかんを採取するA群試料と1本のみかんの木から80個のみかんを採取したB群試料を採取し, 9元素について多元素同時分柝すると共に, 土壤分柝も合せて実施し, その相互関係について検討した。
1. A群, B群の試料については, 両群間に平均値の有意な差が認められなかった。しかし分布型は鉛, ニッケルに歪んだ分布型が得られるという一致した分布型が得られたので, 両群について主成分分柝をおこない, 変動要因についての共通性を調べ, 鉛, ニッケルの分布の歪みについて, 共通性のある環境要因があることが認められた。
2. A群試料と土壤分柝の結果を対比すると土壤中で正規分布型を示しているにかかわらず, 生体内元素分布型として歪んだ分布型が得られたものもあり, また逆に土壤中元素分布が歪んでいても, 生体内元素分布は正規型分布を示した例も認められ, 後者については生体内恒常機構の機能範囲に環境条件が存在しているためであり, 前者については, 環境条件がたとえ均一であっても恒常機構の機能範囲外に環境条件が存在しているものと判断した。
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