実験的腎障害薬 (HgCl
2, Glycerin, PAN) をラットに単回投与した後, 尿中および血清中の酵素活性等を測定し以下の結果を得た。
1. HgCl
2の投与により尿中の蛋白量およびALP, GOT, GPT, γ-GTP活性はいずれも著明に増加したが, 血清中の蛋白量および諸酵素活性に有意な増減は認められなかった。
2. Glycerinの投与により尿中の蛋白量およびGOT, GPT活性は著明に増加したが, 血清中ではALP活性のみ有意に増加した。
3. PANの投与により尿中の蛋白量およびGOT, GPT活性の増加が認められたが, 血清中では蛋白量, ALP, GOT活性の減少が認められ血清から尿への蛋白質およびGOTの漏出が示唆された。
4. 尿および血清中の蛋白量および数種の酵素活性を同時に測定することにより糸球体あるいは尿細管障害を推察できると考えられる。
5. 腎機能障害のスクリーニングとして尿および血清中の酵素活性を測定することは,測定方法が容易で多量の検体を処理できること, いくつかの酵素を測定することによりある程度め障害部位を推定できることといった利点があり一般毒性試験における腎機能検査法として有効と考えられる。
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