ラットに32週間鉛を投与し, さらに投与中止後32または48週にわたる鉛の動態を明らかにした。鉛は酢酸鉛として1および5%を含む固形飼料を与えた。実験期間中の臓器組織中の鉛濃度の変化を Kinetic Study によって分析した。投与開始後, 鉛は比較的急速に生体内にとりこまれ, 32週間の投与でほぼ定常状態に達した。定常状態と推定される生体内での鉛濃度の分布は血液を1とすると, 肺臓1.5, 大脳2, 肝臓4, 脾臓13, 腎臓40, 歯牙400, 頭蓋骨540, 大腿骨600であった。硬組織の鉛の retention は非常に大であった。鉛投与中止後の減衰様式は3つのグループに分けられ, 減衰の遅い硬組織のグループと, 軟部組織のうち投与中止時に比較的濃度の高く, 減衰の早い腎臓, 脾臓, 肝臓のグループと軟部組織のうち濃度が低く, 減衰の遅れた肺臓, 大脳, 血液のグルーブに分けられた。いずれのグループも48週で control 群のレベルにまで回復しなかった。
抄録全体を表示