海産酵母
Rhodosporidium sphaerocarpum IFO 1438の生長におけるNaClの影響を調べてみた。生長のためのNaClの最適塩濃度は0.5M NaClであり, 最高3.5M NaClまで生長がみられた。しかし, 合成培地における生長は著しく低下しNaCl-freeで約50%の生長にとどまった。また, 高塩環境における生長では, 耐塩性を示した。1M NaCl濃度においてはNaCl-freeとほとんど同様の生長を示すものの, 僅かな生長の遅れがみられた。
一方, これらの各塩環境における細胞の脂肪酸組成にも変動がみられ, Gas chromatogram による結果では, 塩環境においてはC16:0, C18:0の Peak は減少し, C18:2, C18:3は増加を示した。この様に,
Rhodosporidium sphaerocarpum の細胞は, 1M NaCl塩環境において Salt stress を受けると, 生長阻害と共に脂肪酸組成は変動をきたし, Palmitic acid, Stealic acid, Oleic acid 等は減少するものの Linoleic acid 及び Linolenic acid は増加がみられた。特にこのことは Linolenic acid において, 22.7倍と著しかった。
以上のことから,
Rhodosporidium sphaerocarpum において, Salt stress は生長と共に脂肪酸組成に大きな影響を与えることが明かとなった。
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