変敗した梅漬から2株の酵母を分離し、耐酸性と耐塩性を検討し、以下の結果を得た。
1) 塩漬した梅を漬け込む梅酢のpH、食塩濃度、有機酸を分析した。自家製梅酢12点と市販の梅酢1点のpHは2.3~2.6、食塩濃度は22~25%であった。またクエン酸とリンゴ酸を主要な有機酸として検出した。
2) 分離株の特徴の1つは、高い耐酸性を有しpH2.0~3.0の強酸性域で良好な生育を示す点であった。
3) 分離株は中程度の耐塩性を有し、pH3.0以下では1.0M NaClまで、pH3.0以上では1.5M NaClまで生育が認められた。
4) Mg
2+イオンが分離株のいろいろのpHにおける耐塩性を増進させた。50mM M
2+イオンを添加すると、いずれのpHにおいても、1.0Mおよび1.5M NaCl存在下での生育が促進された。また、50mM Mg
2+とK
+イオンを添加すると、生育は高張環境の1.5Mから2.0M NaClまで可能となった。
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