無麻酔下でラットの尾神経伝導速度の経時的な測定値に及ぼす尾部の温度、加齢、体重の影響について検討して、以下の結果を得た。
1. 尾部のパラフィン浴温度について、対照群 (37.5±0.5℃) と低温群 (32±0.5℃) を比べると、低温群では運動神経伝導速度 (MCV) は0.83m/s/℃減少し、混合神経伝導速度 (MNCV) は0.95m/s/℃それぞれ減少した。遠位部潜時は0.05msec延長した。また、対照群と高温群 (42±0.5℃) と比べると高温群ではMCVは0.72m/s/℃増加し、MNCVは0.88m/s/℃それぞれ増加した。遠位部潜時 (DL) は0.04msec短縮した。
2. パラフィン浴温度が32℃に対する42℃のラットの尾神経伝導速度の温度係数 (Q10) はMCV1.2、MNCV1.2、DL1.2であった。
3. ラットの尾神経伝導速度は週齢とともに増加するが24週齢から50週齢までほぼ一定の値となる。成長に応じて伝導速度は増加するので、24週齢までの実験において尾神経伝導速度の測定値を考えるには加齢による変化を考慮に入れなければならない。
4. 同週齢 (8~50週齢の間) で体重または尾長が異なる場合、対照群の体重の約70%程度の場合でも尾神経伝導速度 (MCV, MNCV) にほとんど体重の影響は認められない。
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