宮崎県全体と県内44市町村について、調査対象10年間 (昭和60年から平成6年) の三大生活習慣病 (悪性新生物、心疾患、脳血管疾患) の標準化死亡比 (SMR)を、各年度ごとに全国平均死亡率を基準に算出した。悪性新生物については、更に部位別に胃がん、肝臓がん、肺がん、大腸がんのSMRも算出した。
調査対象10年間の平均SMR値から、各生活習慣病SMR値の高い地区や地域的特徴などを検討した。
1. 宮崎県全体の三大生活習慣病SMR値は、全国平均を100として、悪性新生物90.2、心疾患99.6、脳血管疾患102.1である。また部位別悪性新生物のSMR値は、胃がん76.7、肝臓がん93.7、肺がん85.7、大腸がん99.3である。
2. 市町村別に算出した三大生活習慣病SMR値の地域的傾向は、次のとおりである。
1) 悪性新生物でSMR100以上の5地区は、県東部に位置し、その内の3地区は沿岸地域で漁業の盛んなところである。一方SMR80未満の地区の多くは、県北部の大分県寄りの内陸部にある。
2) 心疾患及び脳血管疾患のSMR100以上の地区は、いずれも県下市町村の半数程度もあり、県内各地に散在している。
3. 市町村別に算出した部位別悪性新生物SMR値の地域的傾向は、次のとおりである。
1) 胃がんSMR100以上の6地区は県東部に位置し、そのうち4地区は沿岸地域にある。一方、SMR50以下の地区は内陸部の盆地や山間地域にある。
2) 県南部の内陸部に肝臓がんSMR値の高い地域が存在する。
3)肺がんSMR100以上の6地区のうちで4地区は県北東部に位置し、一方SMR値50台以下の3地区は県西北部の九州山地の連なるところにある。
4) 大腸がんSMR100以上の地区は、全県的に散在している。
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