食品工業の急速なる発展とともに味の化学も恐らくはすばらしい発展をとげることであろうが, それには味の化学に関連する研究者および技術者の緊密なる協力が必要であり, 筆者は先ず従来の栄養化学を根幹とした食品分析表と肩をならべて食品中に存在する風味要素と推定されるアミノ酸, 糖類, 有機酸などの含量を記載した食品風味成分表の出現を希望するとともに一日も早く化学的, 官能的両見地よりみて世界に誇るすばらしい味の化学が味覚感度の優秀な日本人によって完成されることを願って本稿を終ることにする。
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