寒冷に対する体温調節反応の男女の違いをら明かにするため, 健康な男女大学生 (運動鍛練者) を対象に, 体温日周変動の体温上昇期 (9: 00~12: 00) に1時間の寒冷暴露 (10℃) を行い, その際の代謝, 体熱量の変化, 輻射および対流ならびに蒸発による熱放散を算出し, 熱平衡の側面から定量的な検討を加えた。得られた結果は以下の通りである。
1) 熱産生量は女子に比して男子の方が8~12%大で, 特に, その傾向は暴露40分以降に認められた。
2) ふるえは男子で12名中9名に, 女子では6名中3名に認められた。ふるえの回数は時間経過に伴って増大がみられるが, 男女差は認められなかった。ふるえ持続時間は女子に比して男子で大で, 特に, 暴露40分以降に認められた。同一平均皮膚温に対するふるえ持続時間は女子に比して男子の方が大で, 特に, 27.5℃を境に著明に増大した。
3) 蒸発による熱放散は男女間に差異は認みられないが, 間接的に算出した輻射ならびに対流による熱放散は女子に比して男子の方が平均24%大であった。
4) 体熱量は女子に比して男子の方が48~52%大きい負の値を示した。
5) 末梢組織コンダクタンスは女子に比して男子の方が平均18%高い値を示した。
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