日本生気象学会雑誌
Online ISSN : 1347-7617
Print ISSN : 0389-1313
ISSN-L : 0389-1313
26 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 渡辺 厳一
    1989 年 26 巻 1 号 p. 3
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
  • 菅井 清美, 中島 利誠
    1989 年 26 巻 1 号 p. 5-13
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    身体左右に2分割できる衣服を着用した3人の被験者を使って, 衣服着用感覚への衣服素材の影響を検討した.綿・ポリエステル2層構造の編物を, 着用する素材面を変えて用いた.
    身体の両側に衣服の同じ面側を着用し, 10分間運動したとき, 身体左右に衣服気候の差がみられたが, 感覚には差はみられなかった.異なる素材面を着用したとき, 同様に衣服気候差があったが, 衣服気候と着用感覚は対応しなかった.
    主観的感覚と衣服気候の変化との間にズレが見出され, 感覚は衣服気候の変化速度, すなわち衣服内の湿度や皮膚の濡れ面積率の変化速度とよりよい相関があった.
  • 千葉 篤彦, 青木 清
    1989 年 26 巻 1 号 p. 15-27
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    イモリの間脳頭頂部に光遮蔽のカバーをして歩行活動リズムへの影響について調べた.24時間および23.75時間という2つの異なる周期の明暗サイクルの下で, イモリの間脳頭頂部の頭蓋にアルミホイルを貼ることによって光入射を遮蔽した.本研究に使用したすべての実験動物は, あらかじめ恒暗条件下でその歩行活動リズムの自由継続周期 (τ) を測定した.
    τが与えられている明暗サイクルの周期 (24時間, あるいは23.75時間) の近傍になかった個体では, カバー操作後, それ以前に観察された通常の活動パターンを現さなかった.これに対し, τが与えられている明暗サイクルの周期に近似している個体では, カバー操作後も活動パターンへの影響はみられなかった.
    これらの結果は, イモリでは松果体および眼における光受容機能が, 明暗サイクルに同調する歩行活動のリズムの形成に強く関与していると考えることによって説明することができる.
  • 吉田 典子
    1989 年 26 巻 1 号 p. 29-39
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    Sprague-Dawley系成熟盲目雄ラット (3~9か月齢) を用いて, 睡眠 (徐波睡眠・逆説睡眠) , 輪回し行動の概日リズムを7~10日間観察し, freerunすることを確認した後, ketamine, diazepam, pentobarbital sodium投与の影響を検討した.
    ketamineとdiazepamは, リズムの位相に変化がみられ, 投与時刻によって位相の前進あるいは遅延が見られた.しかし, その変化は異なり, diazepamではリズムの振幅, 周期には変化がみられなかったのに対し, ketamineでは超日周期を示した.このことから, ketamineとdiazepamは, 概日リズムのoscillatorのひとつと考えられている視交叉上核 (SCN) に直接, あるいは間接的に, 概日リズム形成の中枢機序に変化を与えているものと思われる.一方, pentobarbital sodiumは, 投与後一両日リズム振幅の減少が観察されるのみでリズムの位相, 周期に変化がみられなかった.
  • 三ツ井 紀子, 中島 利誠
    1989 年 26 巻 1 号 p. 41-48
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    羊毛, 脱スケール処理羊毛, 脱スケール処理羊毛と綿との混紡, および綿の4種類のセーターを用いた場合の衣服下気候と, 着用快適感に及ぼす繊維の影響について検討した.試料の各種物理的性能を調べ, さらに, 被験者の主観的感覚 (発汗状態, セーターの湿り感, 温冷感覚, 快適感覚) と, 皮膚上, 衣服上の局所ぬれ面積率との相関について検討した.
    各種試料の物理的性能には大きな差はみられなかったが, これは定常状態で測定しているためと考えられる.試料間の乾燥特性には差がみられ, 羊毛より撓水処理された綿の方が乾燥が速かった.また, 綿は, 局所ぬれ面積率が大きくても被験者の不快感は小さい傾向がみられた.皮膚上, 衣服上の局所ぬれ面積率と被験者の主観的感覚とには, 大きな相関がみられ, とくに皮膚上の局所ぬれ面積率との相関は大きかった.
  • 薩田 清明
    1989 年 26 巻 1 号 p. 49-55
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    インフルエンザの流行を生気象学的に解明するために1982~1985年の3回の冬の流行について, 関東地方を中心に全国15都道府県のインフルエンザ患者発生数のピーク時期と10月から3月の6か月間の月別の平均気温, 平均相対湿度, 平均水蒸気圧との関係について検討した.
    インフルエンザ患者発生のピークは関東地方と大阪, 島根, 福岡など西日本では月平均相対湿度の低い月にあり, 逆に北海道, 新潟, 長野など北日本では相対湿度の高い月にあった.北日本の1月, 2月は雪の降る日が多く, 相対湿度は高いが, この地方では気温が低く, 強力な暖房をしているために家屋内では相対湿度が低下していると思われる.もし, そうであれば, どの地域でも屋内の相対湿度の低い条件がインフルエンザの流行に都合のよい生気象学的状態であることが推論される.
    月別平均気温と月別平均水蒸気圧の変動には地域差も年次差も認められず, 1月または2月がもっとも低く, 10月がもっとも高く, 患者発生時期との間に関係が認められなかった.
  • 川名 はつ子, 三浦 悌二
    1989 年 26 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    各国とも人口動態統計の整備される以前には月別出生の統計はなく, 長期の変動を観察するための資料に乏しい.このたび信頼できると思われる朝鮮の族譜の記録から1399~1980年生まれで出生年月の明らかな13, 004人について調べ, 従来知られていなかった朝鮮での月別出生数を明らかにした.その結果, 15~18世紀には春と秋の2つの山がみられたが, 19世紀以降はその傾向が弱まり, さらに20世紀中ごろになると春の山のみが高くなり, 20世紀前半の日本と共通のパターンが見られた.その後, 日本では1964年から一年中ほぼ平坦となったが, 朝鮮では1970~1980年代に入っても, まだ早生まれの多いパターンを残していた.本研究の20世紀に入ってからの動向は, 朝鮮総督府統計年報や韓国人口動態統計から調べた一般人口の結果とほぼ一致した.
feedback
Top