日本生気象学会雑誌
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28 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 三ツ井 紀子, 中島 利誠
    1991 年 28 巻 4 号 p. 125-135
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    綿, 綿・アクリル混紡, 毛の3種類のTシャツを用い, 運動による衣服下気候と着用快適感に及ぼす繊維組成の影響について検討した.被験者は, 22.5℃, 57.0%RH, 気流10cm/secの人工気候室内のトレッドミル上で21分間運動を行った.胸と背で, 衣服下, 衣服上の局所の温度と絶対湿度を測定した.被験者は4つの主観的感覚を申告した.皮膚上, 衣服上の局所濡れ面積率を計算した.試料はいずれも吸水性がなく, 水分率を除くその他の性質に著しい大きな違いはなかった.温度変化は試料間で差が小さいが, 毛着用時の衣服下の絶対湿度は他試料に比べ大きかった.絶対湿度の上昇・低下傾向, および被験者の各主観的感覚には, 試料問に有意差がみられた.衣服下水分量は各主観的感覚とかなり高い相関を示した.皮膚上の局所濡れ面積率は快適感覚と相関がみられたが, ヒステリシスがあるため, 濡れ面積率上昇時と下降時にわけると, 特に上昇時は高い相関が得られた.
  • 浅木 恭, 市川 みね子, 入來 正躬
    1991 年 28 巻 4 号 p. 137-143
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    ラット体温恒常性維持能の昼夜の違いについて加齢の影響を含めて検討した.体重がほぼ等しくなる8~9ケ月齢の壮年群と24~29ケ月齢の老齢群を用いて体組成分析および昼夜に温度暴露実験を行なった.温度暴露実験は, 環境温を毎時10℃で1サイクル0~30℃の範囲で変えて, ラットの直腸温を無拘束状態で測定した. (1) 体組成では, 脂肪, 水分に壮年群と老齢群のあいだに差がなく, 生体の断熱性や熱容量には差がないことを示唆した. (2) ラットの直腸温は, 壮年群, 老齢群共に夜間高かった. (3) 体温恒常性を昼夜について比較すると, 壮年群では差がなかった.しかし, 老齢群では直腸温は低環境温で顕著に温度履歴を示し, しかも昼間の方が顕著に温度履歴を示した.以上から, 老齢群では昼夜による体温垣常性に差があり, 夜間の方が体温調節能が良いことを示唆する.
  • 松田 晋哉, 華表 宏有
    1991 年 28 巻 4 号 p. 145-152
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    福岡県の平均出生時体重の季節変動を, 1974年1月から1983年12月までの動態統計のデータをもとに, 時系列の変動を傾向, 季節変動, その他の周期的変化, そして残りの不規則的な変動に分解する伝統的な時系列分析によって行った.平均出生時体重の季節指数は統計学的に有意な春と秋のピークと, 夏と冬の谷を持っていた.これまでの研究によれば, 出生時体重に関連する最も重要な要因は在胎期間である。そこで, 平均在胎期間について時系列分析を行ったところ, 明らかな季節的周期性が観察された.2つの時系列間の一致性の検定の結果では, 平均出生時体重と平均在胎期間はその月別の変動において, 統計学的に有意な一致を示した.一方, 子宮内発育度を反映していると考えられる, 在胎期間を40週に限定した平均出生時体重では, 季節変動は観察されなかった.これらの結果は, 福岡県においては, 在胎期間が出生時体重の季節変動を生ずるのに重要な役割を果たしているのかもしれないことを示唆している.
  • 井尾 裕子
    1991 年 28 巻 4 号 p. 153-156
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    1972年から1989年までに帝京大学病院を受診した婦人科癌患者について, 出生季節分布を調べた.99名の卵巣癌患者は3-5月生まれが有意に多く, 12月生まれも多い傾向がみられた.子宮頸癌患者337名では, 12-2月生まれが有意に多く, 7-8月生まれも多い傾向がみられた。子宮内膜癌患者71名では, 1-3.月生まれが有意に多かった。1945年以前生まれの卵巣癌患者では, 受診時に閉経前であった患者では, 7-8月生まれが有意に多かったのに対し, 閉経後の患者では, 3-6月生まれと10-11月生まれに多い傾向がみられた。このような現象は、同じ年代生まれの乳癌患者についての報告とよく一致する。この2つの癌を発病しやすくする季節性の因子には, 共通のもののあることが示唆される.
  • ―第1報 定常・非定常状態での虹彩温度の挙動―
    中島 利誠, 潮田 ひとみ, 仲西 正, 駒城 素子
    1991 年 28 巻 4 号 p. 157-163
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    中核温度の情報を非接触法によって得ることを目的として, 内頸動脈を通る動脈血が虹彩に流れ込むことから, 虹彩温が視床下部温を反映すると考え, 3種類の実験条件下において成人男女2名ずつの虹彩温を放射温度計で測定した.同時に, 鼓膜温, 直腸温, 皮膚温を測定し, 熱的定常状態, 及び, 温水または氷水の経口投与という刺激を与えた熱的非定常状態での虹彩温と中核温度, 皮膚温との関係を回帰式を用いて調べ, 中核温度指標としての虹彩温の妥当性を検討した.その結果, 虹彩温は定常状態, 非定常状態においても中核温度の指標として考えることができることがわかった.また, 定常状態では, 虹彩温と平均皮膚温の実測値からの鼓膜温の推定, 非定常状態では, 虹彩温と直腸温の最大変動値からの鼓膜温の最大変動値の推定も可能である。
  • 西 安信, 鈴木 憲三
    1991 年 28 巻 4 号 p. 165-171
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    環境の温熱条件が時間と共に変化する時, 実測されるデーターの解析処理には人の介在を必要とする少なからずの作業を要してきた.本報告ではパーソナルコンピューターで起動される小型のデーターロガーと計測制御プログラムを用いて各種の熱環境データーを自動計測・集録した後, それらをRS-232Cインターフェイスを用いてパーソナルコンピューターに通信転送し, 次いで解析処理プログラムを用いてデーターの演算処理を行い, 予測される人の熱平衡ならびに生理的状態値を計測された熱環境のデーターと対比してグラフィック表示するシステムについて述べる.温熱環境評価のための人と環境との熱平衡状態の予測にはGaggeらの体温調節シミュレーションモデル (Two-NodeModel) が援用されている.
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