中核温度の情報を非接触法によって得ることを目的として, 内頸動脈を通る動脈血が虹彩に流れ込むことから, 虹彩温が視床下部温を反映すると考え, 3種類の実験条件下において成人男女2名ずつの虹彩温を放射温度計で測定した.同時に, 鼓膜温, 直腸温, 皮膚温を測定し, 熱的定常状態, 及び, 温水または氷水の経口投与という刺激を与えた熱的非定常状態での虹彩温と中核温度, 皮膚温との関係を回帰式を用いて調べ, 中核温度指標としての虹彩温の妥当性を検討した.その結果, 虹彩温は定常状態, 非定常状態においても中核温度の指標として考えることができることがわかった.また, 定常状態では, 虹彩温と平均皮膚温の実測値からの鼓膜温の推定, 非定常状態では, 虹彩温と直腸温の最大変動値からの鼓膜温の最大変動値の推定も可能である。
抄録全体を表示